研究課題/領域番号 |
17K12761
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
秋月 秀一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (40796182)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 3次元物体認識 / 位置姿勢認識 / 3次元点群処理 / 動作解析 / Human-object interaction / 知能ロボティクス |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの目的は,生活支援ロボットによる物体操作タスクの実現を目指し,日用品の3D形状にその使用方法を記述した,形を持った日用品の取扱説明書を生成することである. 最終的な目標は,人が日用品を使うようすを色距離データの動画像としてセンシングし,どの部分をどのように使用したのかという動作履歴を日用品の形状にマッピングする手法(これを動作ロギングと呼ぶ)を提案することである. 前年度では,手法のための重要な重要なモジュールである,色距離データにおける物体の位置姿勢推定手法の開発に取り組み,現物の3Dモデルが利用できない場合においても物体の姿勢を推定することのできる手法を提案した. これを受け,今年度は動作ロギング自体の開発に取り組んだ.本研究で提案する「形を持った日用品の取扱説明書」のプロトタイプとしてTactile loggingと呼ぶデータフォーマットを提案し,国内シンポジウム,および国際会議にて発表した.Tactile loggingでは,人の手の動きと道具の動きの両方を時系列かつ3次元的に計測し,手と道具,物体と道具の接触を,あらかじめ用意した道具の3次元形状モデルに記録する枠組みである.記録するデータは接触位置とその方向である.この枠組みによって人物動作を解析したところ,ハンマーを使うときは柄の端を持つ,お盆にものを乗せる際は,真ん中付近に置く,など動作が適用される位置を詳細に記録することが可能となった.また,蓄積した接触履歴を解析することによって,その道具がどのような動作に利用されたのかを解析可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究プロジェクトが最終的に目標とする「形を持った日用品の取扱説明書」のプロトタイプを完成させ,そのコンセプトを国際会議にて発表することができた.このことから,本研究テーマは計画以上に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の進め方は,Tactile logのデータフォーマットの改善及び活用方法に関する検討を進める. まず,フォーマット改善については,記録するデータのブラッシュアップと,記録する接触タイプの推定方法の改善を予定している. logの活用に関しては,Tactile loggingを用いた動作解析アルゴリズムの研究に取り組む.具体的には使用方法未知の物体に対するTactile logの想起や,道具を利用するためのロボット動作生成である.
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次年度使用額が生じた理由 |
利用予定であったアノテーションの人件費が,想定よりコストが低かったため,自ら実施したこと,購入予定のセンサや計算機を代替する機材が使えたことが原因である.最終年度では大量のアノテーションや,高スペックマシンでの学習を実施するため,そのための費用として利用し,さらに研究を加速させる予定である.
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