研究課題/領域番号 |
17K12769
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
井ノ上 寛人 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (40724604)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | コンピュータグラフィックス / カメラワーク / 陰影 / 感性 |
研究実績の概要 |
三人称視点の3DCGアクションゲームに実装されているカメラの制御システムは,一般にカメラの可動範囲が制限されており,アバタと呼ばれる操作対象を中心に旋回させることしかできない.これらの制約下においても迫力感を高められるカメラワークや,衝突時でも見やすい映像表現を新たに導入できれば,3DCGゲームの質や魅力を更に向上できる余地がある.本研究課題では,三人称視点の3DCGゲームで頻繁に生じる場面として,アバタが敵キャラクタと衝突して弾き飛ばされるシーンに着目し,衝突判定後に,(a)カメラを自動旋回させるカメラワークと,(b)アバタを遮る障害物を半透明化させる表現手法を提案し,その視覚的効果の有用性を検討した. 主観評価実験の結果,衝突時にカメラを旋回させる動きには,(1)スピード感や迫力感を高める効果がある,(2)酔いそうな印象を高めてしまう可能性は低い,(3)障害物の配置状況などによっては見やすい印象を高める効果がある,ということが示された.加えて,障害物を半透明化する処理を併用すると,障害物の配置状況などに関わらず,見やすい,総合的によい,と評価されることが示された. また,本研究課題の派生的な成果として,建築系とデザイン系では3DCGの陰影に対する違和感の抱き方に差異があることが明らかとなった.これは,制作対象として目にしてきたオブジェクトの違い,具体的には立体の投影図に付加される陰影との触れ合い方が関わっていると考えらえる.すなわち,建築系では空間全体の表現に関わる「影」に着目する機会があり,デザイン系ではオブジェクトを構成する面の表現に関わる「陰」に着目する機会があることから,これらに対する違和感の抱き方に差異が生じる可能性が示唆された.この研究成果については,日本感性工学会から「優秀発表賞」を頂いた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた実験が概ね完了し、仮説の通りの結果のほか、予想していなかった知見を得ることができた。これらの成果を論文としてまとめ、学術誌に2編投稿した(現在査読中)。
|
今後の研究の推進方策 |
前述したように、提案手法の有効性を検証することができたが、状況によっては十分に一部の機能が十分に効果を発揮しない可能性が考えらえた。計画を延長し、ユーザビリティについての検討を再度行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主に、論文の査読掲載料、学会発表を支出するタイミングの観点から、差額が生じている。したがって、次年度の使用計画としては、主にこれらに支出するほか、研究データの整理等に必要な人件費、ユーザビリティに関する追加の評価実験に関わる物品費として使用する。
|