研究課題/領域番号 |
17K12778
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
黄 銘 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (50728300)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 無拘束モニタリング / 心臓 / ヘルスインフォマティクス / 睡眠 |
研究実績の概要 |
容量性結合法に基づいた心電計測方法(以下:容量性心電計)は非接触でヒトの心電信号を計測することができるため、長時間にわたって無意識の心臓モニタリングが可能となった。本研究では、容量性心電計の信号特徴を検討する上で、不整脈の検出や分類手法を提案し、モニタリングシステムを構築する。H29年度の研究実績は、下記の三点にまとめられる。 容量性結合法に基づいて、睡眠中の心電計測ハードウェアシステムを構築した。容量性電極のアナログ信号をA/D変換器を通じて、LabVIEW(National Instruments)へ読み込むことで、実測信号の実時間の表示や保存が可能となった。このハードウェアシステムを通じて、実測実験の展開ができ、それからのアルゴリズムの開発には不可欠のステップである。 実測実験を行い、計測した信号が医用心電計で計測された信号との比較で、容量性心電計での信号の特徴を検討した。実測実験によって、容量性心電計の振幅は理論通り睡眠姿勢によって増減するが、時間的な情報医用心電計との差はないことが示唆された。 上記の比較結果に基づいて、時間的なパラメータをメインにして、睡眠姿勢の分類アルゴリズムを構築した。 心拍の間隔で非線形パラメーターを生成し、正常、心房細動及び心室期外収縮に対してそれぞれに異なる分布があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、ハードウェアシステムは予想通り構築され、心電信号を確実に計測できたので、実測実験の展開は可能になった。 2、実測実験によって、容量性心電計の時間的な情報と医用心電計との差はないと示唆したので、不整脈の検出に使えると考える。 3、時間的なパラメータなどのパラメータに基づいて、マシンラーニングモデルで睡眠姿勢の分類はでき、特定の睡眠姿勢に基づいて、不整脈の検出モデルの構築は可能と示唆した。
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今後の研究の推進方策 |
容量性心電計で不整脈を検出する可能性はH29年度の研究成果によって示されたので、H30年度は、計画の通り心電信号に対して波形のクラスタリングモデルを構築し、モニタリングシステムに融合するように進める。モデルの実行速度を保った上で、アンサンブル分類機及び深層学習モデルを起用し、精度及び速度を比較する。 クラスタリングモデルの検証には、まず公認された心電信号データベースPHYSIONETの心電信号を確認してから、バイタルサイン・シミュレーターで生成された信号及び実測実験で実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
不整脈を生成できるバイタルサインシミュレーターを次年度に調達する。さらに、健常者及び不整脈がある被験者を募集し、長時間実験を実施する。国内外の学会に参加し研究成果を報告する。
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