研究実績の概要 |
H30年度では容量性心電計の信号を利用して効率よく睡眠状況および心臓の生理状態を抽出するために、実証実験、非接触的なセンサーの信号に対して斬新的な処理手法の提案、および提案手法の検証の三つの方面に取り組んだ。 1、生理情報を抽出するモデルを構築するために、12人の被験者を募集し、30分間の計測実験を実施し、収集したデータに対して前処理を行った。 2、収集したデータに基づいて、データの特徴分析をし、信号の質、睡眠姿勢の抽出および不整脈の検出について、それぞれに分類モデルを構築した。容量性心電計で計測した信号に、体の動きの成分も混入するので、従来の信号処理方法は適用しない。本研究は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の技術を用いて、信号の質、睡眠姿勢の分類に応用する手法を提案した。一方、不整脈を検出するため、非線形指標であるエントロピーの指標とアンサンブル学習マシンであるランダムフォレストを併用する手法(MulenR)を提案した。さらに、ノイズと誤分類しやすい心室頻拍などの不整脈に対して、実験データとデータベースのデータを活用し、CNN深層学習モデルを構築した。 3、それぞれのモデルに対して、検証を行った。具体的には、信号の質の分類モデルでは、使える心電信号に対して0.99の適合率,0.99の再現率を達成した。睡眠姿勢の分類モデルで、仰向け、左/右臥位の3睡眠姿勢に対して、平均的に0.99の適合率,0.99の再現率を達成した。さらに、MulenRを用いて、心房細動、心室期外収縮の不整脈を完全に検出は可能と示す結果を得た。ノイズと誤分類しやすい心室頻拍などの不整脈については、CNN深層学習モデルで0.97の適合率,0.95の再現率を達成した。心室頻拍と心室細動の間に細分類は必要であるが、ノイズから危険性が高い不整脈を検出する可能性は十分にあると示した。
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