本研究の背景として,画像化された資料の利活用がある.貴重書や著作権保護期間が満了した資料を対象としたデジタルアーカイブは広く行われているが,そこで管理されている画像を文字データに変換し,その内容も管理することができれば様々な応用が可能となる.しかし,画像から文字起こしを行うにあたり,機械的に読み取るだけでは十分な精度とならない一方で,手作業では膨大な時間が必要となる.そこで,両者の強みを活かしたデジタル翻刻(文字起こし)プロジェクトが特に欧米を中心としては多数発足している.近年では日本においても古典籍を中心として複数のプロジェクトが立ち上げられている. 本研究計画はこのような背景の中,マイクロタスク型クラウドソーシングに着目し,多数の人の力を借りることで効率よくデジタル翻刻を行う手法の検討及び提案を目指すものである. 本研究計画を通じて,これまでの関連した取り組みや本研究計画の構想を複数回の講演で発表し,意見交換を行った.これにより,効率よくデジタル翻刻を行う手法の考案を行うことができた. 一方で,最終年度に計画していた提案手法を用いた実験と成果の公表は年度内に行うことができなかった.これは,所属の異動による環境の変化と体調不良に伴うものである.
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