2017年度で実施した出来事間の因果関係の推定を高い精度で行えることを目標にして、2018年度は新聞・Twitter・検索ログといった他の種類のデータを用いて、人々はなぜ・どのように・どのような過去を参照するのかを、定量的・定性的に分析した。これらの分析結果をそれぞれJCDL、WIといったトップカンファレンスで発表を行った。これらの作業と平行して、本研究提案の目標である、歴史的類推を促進するための学習システムの実現も行った。このシステムは、クラスタリング・分類・検索を統合した学習システムとして実現した。このシステムのために設計したアルゴリズムやシステムフレームワークを論文としてまとめ、発表を行った。
研究期間全体を通じて実施した研究成果として、まず、収集したWikipediaの出来事に対して高い精度で分類できる分類器を実現するための特徴選択の手法を実現し、成果を論文として発表した。この分類器を用いて入力された出来事に類似する過去の出来事を検索するアルゴリズムを提案し、デモ論文として発表した。また、出来事間の因果関係を従来手法よりも高い精度で検出できるアルゴリズムを実現した。この成果を用いて出来事・因果関係グラフの構築を試みたが、良い精度でグラフを構築することが難しいことが明らかになった。そこで、一旦、グラフではなく、線形リストとして出来事を集約し、それらを埋め込むことによって異なる年に生じた類似する出来事を検索する手法を実現した。この手法の成果をまとめ、論文を国際会議で発表した。次に、上述した、新聞・Twitter・検索ログのデータ分析、学習システムの構築を行った。
|