研究課題/領域番号 |
17K12796
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小野 永貴 日本大学, 芸術学部, 専任講師 (10592868)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高大連携 / 図書館 / 貸出履歴 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の高校教育の高度化の動向に応じ、図書館連携による高校生への学習支援可能性を検証することを目的としている。特に本研究では「学校図書と大学図書館・専門図書館の連携」という枠組みに注目し、今まで検証されてこなかったその実態や効果を分析することを予定する。高度な学習を行う高校生対し、大学図書館や専門図書館の資料利用権も与えることで、有効な支援となり得るのではないかという仮説を検証し、次代の高校教育を支える新たな連携モデルを構築することを目指す 研究期間2年目の平成30年度は、日本の高校生の学習活動における大学図書館専門的資料のニーズ調査を実施するために、調査協力機関への交渉や諸手続きを進めた。複数の特性を有する学校の生徒間で傾向を比較するために、協力依頼先を当初の予定から1つ増やし、3つの学校に対して交渉を実施した。各協力依頼先の現地へ複数回赴き、データの状況や高校生の利用状況等の概略を個別にヒアリングしたが、その過程で1つの協力依頼先はデータのサンプル数が十分に確保できないことが明らかになったため、協力依頼先を2つに減少させるここととなった。 ヒアリングの結果を踏まえ、各協力依頼先の研究倫理審査および貸出履歴データの提供依頼申請の様式に基づき、データ利用の申請の準備を行った。図書館の貸出履歴データはセンシティブなデータであるゆえ、利用申請準備から審査まで時間を要するため、実際の分析は翌年度へ持ち越しとなった。 その他、図書館および情報リテラシー教育分野における高大連携事例やその効果検証の手法等について、関連研究や政策的動向の調査を引き続き実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画において、2年目はデータ分析調査を実施することを予定していたが、データ提供協力依頼の準備および相談・交渉に想定以上の時間を要し、実際の分析作業は翌年へ持ち越しせざるを得なかった。この要因は、図書館の貸出履歴がセンシティブなデータであるゆえ、当初の想定以上に多数の厳格な手続きを要することが明らかになったことに加え、研究期間中に個人情報保護法令の改正があり、それに伴って協力依頼先機関のデータ利用に関する内規等改訂が実施されたため、改めてその内容を精査し妥当性を再検証することが必要となったことなどがあげられる。その他、研究代表者の健康上の理由等により、遠隔地の図書館へ実地訪問してヒアリングを行うことが年度後半まで実施できなかったため、全体的な研究進捗を後ろ倒しにせざるを得なかったことも要因としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間3年目の平成31年度(令和元年度)は、調査協力機関から高校生の大学図書館利用に関する貸出履歴データの提供を受け、利用傾向およびコレクション構成との比較による偏りを分析する。また、高等学校で行われる授業単元や探求学習等のテーマと、大学図書館のコレクションを比較分析し、大学図書館の蔵書を利用可能であった場合どの程度高校生の学習に貢献出来うるか、というシミュレーションを実施する。当初の研究計画においてはインタビュー調査等も予定しているが、研究期間最終年度となるため、研究期間内に完結可能な手法や範囲を再検討したうえで実施し、成果を対外発表していくことを目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、当初の研究計画より遅延が生じ、遠隔の協力依頼先への訪問回数を年度内に十分に設けられなかったこと、およびデータ分析の実作業を開始できなかったためその作業に係る機材や謝金等の支出が翌年度に持ち越しとなったため、次年度使用額が生じた。 次年度は研究期間最終年度となる予定であるため、前述の研究計画を遂行するために必要な機材を年度前半に調達し、また分析作業の過程で要する協力者への謝金を逐次支出したうえで、残額は成果発表に係る費用として執行する予定である。
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