研究課題/領域番号 |
17K12799
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上阪 彩香 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任助教(常勤) (60780252)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 井原西鶴 / 統計科学 / 多変量解析 / 近世文学作品 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、西鶴質疑本への疑問、西鶴工房説の有無の解明を数量的な観点から試みる。井原西鶴(1642~1693)、有力な弟子の北条団水(1663~1711)をはじめとした西鶴周辺の作家の文章の特徴把握を試み、西鶴質疑本をはじめとした著者への疑問が提出されている作品について検討する。分析には、構築済みの西鶴浮世草子24作品、団水浮世草子3作品、同時代に活躍した浮世草子作家4名の浮世草子13作品、新たに構築した6作品のテキストデータを用いる。29年度は、①『好色三代男』、『椀久二世の物語』、『眞實伊勢物語』、江島其磧『大尽三ツ盃』、西村市郎右衛門『新撰咄揃』『小夜衣』のデータ化、②『嵐は無常物語(1688)』の文章の数量的比較分析、③章単位での西鶴遺稿集『西鶴置土産(1693)』、『西鶴織留(1694)』、『西鶴俗つれづれ(1695)』、『西鶴名残の友(1699)』の著者についての疑問の解明に重点を置き、研究を行った。 ①『好色三代男』、『椀久二世の物語』、『眞實伊勢物語』、江島其磧『大尽三ツ盃』、西村市郎右衛門『新撰咄揃』『小夜衣』のデジタル化作業が完了した。 ②西鶴、団水、『嵐は無常物語』を主成分分析、クラスター分析を用いて比較検討し、『嵐は無常物語』の文章の特徴が西鶴と団水のどちらとも類似していないことを示した。 ③バギング法、ランダムフォレスト法、アダブースト法によって西鶴、団水の文章の間に差異がみられた分析項目を用いて、章単位での西鶴遺稿集『西鶴置土産』、『西鶴織留』、『西鶴俗つれづれ』、『西鶴名残の友』のそれぞれの文章が,西鶴と団水のどちらの文章と類似しているのかを検討した。本研究成果についての詳細は、30年度に公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定の工程をほぼ完了しており、その成果を上記の国際学会や研究集会において発表している。研究成果の一部をDigital Humanities 2017(モントリオール、カナダ)で発表(発表題目:”Verifying the Authorship of Saikaku Ihara's Arashi ha Mujyo Monogatari in Early Modern Japanese Literature: A Quantitative Approach”)し、The Alliance of Digital Humanities Organizations Bursary Awardを受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
29年度の研究成果を踏まえ、①西鶴質疑本に提起されている著者への疑問の解明、②形態素解析手法の検討、③研究成果の公表、に重点を置き研究を進める。 ①これまで研究に用いてきた主成分分析、クラスター分析、アンサンブル学習法に加え、トピックモデリング等の分析手法を用いて、西鶴、団水、同時代に活躍した浮世草子作家の文章の特徴把握を試み、西鶴質疑本をはじめとした著者への疑問が提出されている作品について検討する。 ②形態素解析については、人間文化研究機構国立国語研究所「通時コーパスの構築と日本語史研究の新展開」に参加し、本研究で研究対象としている近世浮世草子作品においてどのような形式での解析が最適であるのか模索する。 ③上記の研究成果を「大數據時代日本語料探勘的革新(静宜大学、台湾)」をはじめとした国内・国外学会にて積極的に研究成果発表を行う。研究終了時には、研究成果をまとめ、論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究機関を移動したため、当初予定した29年度の使用計画より少ない額の執行となった。30年度の静宜大学(台湾)等への研究成果発表旅費に充当する。
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