研究実績の概要 |
研究計画最終年度の平成31年度は、申請者が検討してきた二者間での文章の「特徴・クセ」の把握に加え、これまでに構築してきたデータベースと本研究課題にて構築したデータベースを用いて、複数著者間における文章の「特徴・クセ」の把握を試みた。①西鶴、団水、西村市郎右衛門の3人の浮世草子を単語、助詞(unigram、bigram)、文字(unigram、bigram)を用いて数理的分析を行うことで、これらの3人の浮世草子作家による作品の文章の「特徴・クセ」が著者ごとに異なること、西鶴の文章の「特徴・クセ」は市郎右衛門よりも団水と近接していることを明らかにした(Digital Humanites2019, Utrecht・the Netherlands)。②西鶴、団水、夜食時分、西沢一風の浮世草子を対象に、これら4作家における文章の特徴把握を試み、助詞の出現率を用いた主成分分析及びクラスター分析を使用して検討したところ、上記の4作家は著者ごとに文章の「特徴・クセ」が異なることを示した("Innovative Foreign Language Education and the New South-Bound Policy")。③さらに、本研究課題で取り組んできたバギング法、ランダムフォレスト法、アダブースト法により、西鶴と団水の文章の間に差異がみられた分析項目を用い、章単位での西鶴遺稿集『西鶴置土産』、『西鶴織留』、『西鶴俗つれづれ』、『西鶴名残の友』のそれぞれの文章が、西鶴と団水のどちらの文章と類似しているのかを検討した研究成果についての解説を行った(『文化情報学事典』)。 これらの研究成果は、上記に挙げた書籍やユトレヒト大学(オランダ)で開催されたDigital Humanites2019等にて公表した。
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