研究目標であるMBDアプローチに基づく学習支援システム設計法について,以下の研究成果を得た。 I. 学習支援システムの具体的な課題として,英単語タイピングサポートシステムを取り上げ,これまでの研究成果に基づき学習者モデルを構築した。学習者モデルでは,これまでの研究成果によるモデリングに加えて,学習者のスキルを制御工学の観点から1次遅れ系の周波数伝達関数に基づいて定義できることを示し,MBDにおける学習者モデルの表現の幅をさらに向上できることを確認した。 II. 学習者モデルのタイピング正答率を望ましいタイピング正答率に追従させるための制御器を構築した。MILS (Model in the Loop Simulation)では,提案する制御器が問題の難易度を適応的に調節することにより,学習者モデルのタイピング正答率を任意の正答率に追従させることが可能であることを確認した。 III. 上記の結果を受けて,C#を用いたタイピングサポートシステムの開発を行った。開発したプログラムを実行可能なサーバを,現在,学内のネットワークに配置しサポートシステムが運用可能になっている。引き続き,被験者によるデータ取得を行いさらなるモデルの修正並びに制御器パラメータの調整等を行っている。 IV. I-IIIまでの成果に基づき,電気学会が主催する制御研究会へのエントリーを済ませている他,IEEEが主催する国際会議Frontiers in Education 2020に本成果を投稿し,現在,アブストラクトの査読についてアクセプトを受け,第二段階として現行の査読を受けているところである。
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