研究課題/領域番号 |
17K12805
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
宮崎 誠 帝京大学, 理工学部, 助教 (60613065)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ルーブリック / データベース / コンピテンシー / CASE / LTI / 技術標準化 / リポジトリ / プラグイン |
研究実績の概要 |
2020年度は,システム開発を完了し,検証と成果の公開のフェーズとして位置づけている.まずは,バックエンドシステムにあたるルーブリックリポジトリについては,最新バージョンのオープンソースのコンピテンシーフレームワーク管理システムOpenSALTにより構築し,ルーブリックやコンピテンシー等の評価基準を一元管理することが可能となった.登録するいくつかの評価基準については,これまで同様のシステム開発研究を実施している他の研究者や教育実践にて協働でルーブリックを開発した研究者らからルーブリックリポジトリに登録することへの同意を得ており,順次登録を行っている.また,OpenSALTは,IMS GLCのCompetencies and Academic Standards Exchange (CASE)に準拠しているため,CASEによるシステム間連携を調査した.これら調査結果ついては,eラーニングアワードフォーラム2020のIMS Japanトラック,日本IMS協会 CASE研究会第1回例会にて発表し,CASEやOpenSALTに関する知見の共有を行った.ルーブリックの国際化対応については,Transifexによるクラウド翻訳システムとの連携を進めていたが,近年AIによる日本語機械翻訳の精度が急速に向上してきたため,DeepL API を使ったシステム連携による翻訳を検証中である.Maharaのルーブリックプラグインについては,CASEに対応することで本研究の目標であったルーブリックリポジトリからのインポートを実現した.ドキュメントやライセンスを整理してGitHubへの公開を準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ルーブリックの国際化対応をクラウド翻訳システムであるTransifexを利用する方針で進めていたが,近年AIによる日本語機械翻訳の精度が急速に向上してきたため,DeepL API を使ったシステム連携による翻訳についての検証も必要となった.進捗に遅れが出ているが,より良い技術への置き換えのためであり,AIによる翻訳で充分な精度が期待できればTransifexでの翻訳コントリビュータや翻訳メモリの用意なども不要となり,ルーブリックの国際化にとってかなりの省力化に繋がるため,DeepLを使ってルーブリックの翻訳精度を検証することは大変重要である. また,2020年度は,新型コロナウイルスの影響により,同様のシステム開発研究を実施している他の研究者とのシステム開発に関する情報交換,協働でルーブリックを開発した研究者らとの本システムによるルーブリック活用の提案などが難しくなったことも,進捗の遅れに影響した. 次年度は,本研究の成果公開フェーズと位置づけてルーブリックリポジトリおよびCASE準拠のMaharaルーブリックプラグインの開発について成果を公開する.
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今後の研究の推進方策 |
ルーブリックの国際化対応に関して,DeepL API を使ったシステム連携による翻訳精度の検証を行う.翻訳メモリや翻訳辞書等によりある程度省力化できるとはいえ,人が翻訳する必要があるTrasifexに対し,DeepLにてルーブリックの記述後のような文章を機械翻訳できるメリットは大きいと考えており,一定の翻訳精度が確認できれば,DeepL API連携を実装し,開発を完了する. 構築したルーブリックリポジトリは,ルーブリックやコンピテンシー等の評価基準レポジトリサーバとしてインターネットに公開し,またCASE準拠のMaharaルーブリックプラグインについては,ドキュメントやライセンスを整理してGitHubに公開することを予定している. なお,OpenSALTによる評価基準リポジトリサーバの構築方法および利用方法,活用については,引き続き,日本IMS協会CASE研究会と連携し,ワークショップ等を行い,知見の共有を行う予定である. 現在,新型コロナウイルスの影響により,研究に関する情報交換の場が奪われている状況を懸念しているが,学会や研究会がオンラインで開催されることに慣れてきたこともあり,積極的にオンラインでの交流の機会を利用して情報交換を継続していきつつ,学会や研究会等での発表を通じて本研究課題の成果を順次公表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で,研究成果発表のための学会,研究会等がオンライン開催になったことにより,旅費が支出されなかったため,次年度使用額が生じた.次年度は,研究成果に係る出張やサーバ費用,国際化対応のためのサービス利用料等の費用に使用する.
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