研究課題/領域番号 |
17K12813
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 かがり 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (60526888)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バイオロギング / データロガー / 中深層生態系 / 高次捕食者 / 海生哺乳類 / 鯨類 / コビレゴンドウ / マッコウクジラ |
研究実績の概要 |
中深層は地球表層圏の大部分を占めるにも関わらず、中深層生態系を統合的に観測する手法はない。水面と中深層を高頻度で往復する大型ハクジラ類は効率的な海洋観測のプラットフォームとなりうる。それとともに、食物連鎖の頂点に立つ高次捕食者の動態は、優れた環境応答の指標となる。具体的には、高次捕食者が何をどれだけ食べるのか?環境変動や個々の状態(栄養状態等)によってその捕食量はどう変化するのか?その動態は、生息環境の健全性の指標にもなりうる。海洋生態系を観測する手法を確立する上で最も重要な点は、物理環境の変化のみならず、変化した物理環境における動物の応答を把握することだと考える。動物搭載型記録計を用いて、大型ハクジラ類をバイオセンサーとした中深層生態系を観測する手法を確立する。 平成29年度では、次年度に行う動物装着型記録計取り付けのための野外調査の準備や飼育実験を行う計画をしていた。平成30年度に使用予定の調査機材 動物装着型記録計取り付けシステムをノルウェー Restech社から購入した。購入した機材そのものでは野外調査に使用することができないため、同様のシステムを使って調査している研究者に協力を仰ぎ、改良を進めている。平成30年度に行う野外調査について、共同研究者と、調査の時期、傭船する船やその他詳細な方法についての打ち合わせを行い、手配を進めた。 本研究の予備的な解析として、過去に得られたデータの解析を行い、北極圏付近で得られた大型鯨類の潜水行動、栄養状態の指標となる体脂肪率の推定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に調査を行うために、必要な機材を調達・準備を進めた。調査機材をそのまま調査に使うことはできないため、改良が必要である。しかし、購入予定であった一部の機材の開発状況が遅れており、現状では改良に必要な物品全てを入手することができていない。本年度中には入手できる見込みであるが、本年度の野外調査には間に合わないため、旧機材を用いて調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
野外調査を、日本周辺海域に広く分布する大型ハクジラ類(マッコウクジラ、ゴンドウ クジラ等)を対象に行う。野外で、広角動物ビデオカメラと三次元行動記録計または潜水行動を記録することのできる衛生発信器を大型ハクジラに取り付けることを試みる。調査は、代表者がこれまで調査を行っており地元の漁業者や住民の協力が得られる小笠原海域、または共同研究者が調査を行っている五島列島周辺海域で行うことを予定している。
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