次世代極域気候モデル開発と広域観測によるグリーンランド氷床質量損失メカニズム解明

2019 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 17K12817
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 環境動態解析
• 研究機関: 気象庁気象研究所
• 研究代表者: 庭野 匡思 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (10515026)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: グリーンランド氷床 / 表面質量収支 / 極域気候モデル / NHM-SMAP / 雪氷融解 / 雪氷質量損失 / 温暖化 / 北極

研究成果の概要

本研究では、2000年代以降グリーンランド氷床で急激に引き起こされている雪氷融解と雪氷質量損失を精緻に計算可能な次世代高解像度極域気候モデルNHM-SMAPを独自開発することに成功した（Niwano et al., 2018, The Cryosphere）。また、オリジナルなモデル検証データを取得する氷床上トラバース観測にも成功した（庭野ほか, 2018, 雪氷）。更に、本モデルを活用して、氷床表面融解に対する雲の放射加熱効果、及びその間接効果に関する信頼のおける定性的・定量的知見を世界で初めて提示した（Niwano et al., 2019, Sci. Rep.）

自由記述の分野

雪氷学、気象学

研究成果の学術的意義や社会的意義

グリーンランド氷床では、2000年代初頭から急速な雪氷融解と雪氷質量損失が進行している。そのため世界の研究者がこぞってそのメカニズム理解に関する研究を実施している。ただし、グリーンランドは非常に広大かつアクセスが難しいことから、モデル研究が有効であると考えられている。中でも極域（領域）気候モデルは現在最も信頼性が高いと評価されている。今日、そのような極域気候モデルは世界に4つしか存在しないが、本研究で開発したNHM-SMAPはその１つである。しかも、考慮している物理過程の精緻さは、客観的に見ても他よりも優れている。今後は、このモデルを活用して、北極研究における日本のプレゼンス向上を進める。