研究課題
SLX4/FANCPはクロスリンク損傷を除去するヌクレアーゼ複合体のスカフォールド分子であり、ファンコニ貧血(FA)原因遺伝子のひとつである。SLX4の損傷部位への集積(フォーカス形成)には、ユビキチン化経路が必要であることが示唆されている。またアミノ(N)末端のユビキチン結合ドメイン(UBZ4)の欠失変異がFA発症を引き起こすことから、SLX4を損傷部位へとリクルートするユビキチン化経路がクロスリンク修復、ひいてはFA発症抑制に必要であると考えられるが、その分子機構の全容は明らかになっていない。1)SLX4の損傷部位への集積に必要なアミノ酸配列の探索前年度に、GFPタグにより可視化したSLX4アミノ末端の一部の配列が、ICL損傷後のフォーカス形成に十分であることを確認した。そこでさらに、N末端にあるいくつかのドメインを欠失させたところ、SLX4のダイマー形成に必要なBTBドメインも、フォーカス形成に影響を与えることを見出した。2)ユビキチンリガーゼRNF168のICL修復における機能解析前年度、当研究所の安倍昌子博士の協力のもとスクリーニングを行い、SLX4の集積に必要な因子としてRNF168を同定した。ユビキチンリガーゼ活性をもたないRNF168変異体は、ICL損傷後にフォーカス形成するが、この細胞でSLX4のリクルートは障害された。CRISPR/Cas9システムによりRNF168欠損細胞株を樹立したところ、ICL損傷剤であるシスプラチンへの感受性が認められた。またソラレン処理後にUV-Aを照射することで核内局所にICL損傷を誘導すると、SLX4のリクルートが確認されたが、UBZドメイン変異やRNF168ノックダウンによって、SLX4の集積が減弱することがあきらかになった。
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