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2018 年度 実施状況報告書

DNAポリメラーゼζ(ゼータ)が誘発する変異の生成・抑制の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 17K12824
研究機関広島大学

研究代表者

鈴木 哲矢  広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 助教 (20573950)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードDNA損傷 / 変異 / 損傷乗り越え合成 / DNAポリメラーゼζ
研究実績の概要

昨年度の解析結果からグアニンのベンツピレン付加体 (BPDE-dG) がリーディング鎖の鋳型にある場合とラギング鎖の鋳型にある場合で変異体頻度に有意な差は見られなかったが、さらに追加で解析を行った結果、正確性が低いDNAポリメラーゼζを発現する細胞において、BPDE-dGがリーディング鎖の鋳型にある場合に比較してラギング鎖の鋳型にある場合の方が、変異体頻度が有意に高いことが明らかになった。また、変異スペクトルの解析の結果、損傷近傍に複数の変異が誘発されているプラスミドが多く見られたが、リーディング鎖とラギング鎖で顕著な違いはなかった。
また、エキソヌクレアーゼ活性を不活性化したDNAポリメラーゼε及びδを発現する細胞の作製を試みた。はじめにDNAポリメラーゼεあるいはδの変異導入部位付近を標的とするguide RNAとCas9 nickaseを発現するプラスミドと変異導入の鋳型となるドナープラスミドを用いて、SNGD法により作製を試みたが変異導入クローンは取得できなかった。次に、薬剤耐性遺伝子を有するドナープラスミドを用いて作製を試みたがこの方法でもクローンは取得できなかった。そこで、相同組換えを効率的に誘導できる方法を検討したところ、転写鎖にニックを導入することでDNA二本鎖切断と同程度の相同組換えが誘導でき、かつ非相同末端結合を介した欠失・挿入変異はDNA二本鎖切断と比べて低いことが明らかとなったため、今後この方法での細胞の作製を検討することとした。
損傷を含むプラスミドの調製に用いていたT4 DNAポリメラーゼがこれまでに使用していたメーカーからの入手が困難となったため他のメーカーのものに変更したところ同じ反応条件で調製できなかったため、反応条件の検討を行った。さらに、2ステップで行っていた反応を1ステップとすることで収量・純度を改善することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

損傷を含むプラスミドの構築に必要なDNAポリメラーゼがこれまでに使用していたメーカーからの入手が困難となったため他のメーカーのものに変更したところ同じ反応条件で構築ができなかったため、反応条件の検討に時間がかかった。また、リーディング鎖とラギング鎖の違いについて詳細な解析を行うことができたが、一方で様々な方法を試みたもののDNAポリメラーゼε及びδの変異細胞の作製には至らなかったためやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

引き続き、複製型DNAポリメラーゼであるDNAポリメラーゼε及びδのエキソヌクレアーゼドメインに位置するアミノ酸に変異を導入し、エキソヌクレアーゼ活性を不活性化したDNAポリメラーゼε及びδを発現する細胞の構築を試みる。転写鎖にニックを導入する方法の他、直線化したドナーDNAを用いるTild法などでの作製の検討も行う。さらに、効率的にノックイン細胞が作製できた方法によりDNAポリメラーゼζのアクセサリータンパク質が相互作用するREV3の部位 (REV7は1880、1884、1885番目の3つのプロリン、PolD2、PolD3はREV3の3086番目以降のアミノ酸を含むC末端ドメインを介して相互作用する) の変異細胞の作製を行う。損傷塩基 (BPDE-dG) を含むプラスミドをこれらの細胞に導入し、誘発される変異の解析を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ニックにより誘発される変異および相同組換え2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木 哲矢、 紙谷 浩之
    • 学会等名
      第57回日本薬学会中国四国支部学術大会

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公開日: 2019-12-27  

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