損傷乗り越えDNA合成を行うDNAポリメラーゼ (Pol) の1つであるPolζは、損傷を乗り越えた後も十数塩基のDNA合成を行い損傷部位以外にも変異を誘発する。本研究では、ベンツピレンのグアニン付加体 (BPDE-dG) をPolζが乗り越え合成する際に誘発する変異の分子機構を解析した。低正確性のPolζを発現する細胞では、BPDE-dGがリーディング鎖の鋳型鎖に含まれる場合に比較して、ラギング鎖の鋳型に含まれる場合の方が高い変異頻度を示すことを見出した。また、Polζが誘発する変異にミスマッチ修復は関与していないことが示唆された。
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