水溶性有機炭素(WSOC)は,粒子状物質中の酸化された有機成分の多くを含んでいる。近年,粒子状物質の発生源推定に炭素安定同位体比(δ13C)測定が広く利用されているが,WSOCの測定は前処理が煩雑かつ時間がかかるという課題があった。そこで本研究は,湿式酸化/安定同位体比質量分析計を用いてPM2.5に含まれるWSOCのδ13Cを測定する簡易な方法を構築した。この方法を用いて2017年7月から11月につくば市で観測されたPM2.5を測定したところδ13C値は-26.5‰~-25.0‰の範囲であることが確認された。
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