本研究課題では、気候モデルと観測データに基づいた初期値化システムを用いて、季節から経年スケールで変動する北極海の海氷予測可能性とそのメカニズムを調べた。北極海の冬季海氷面積は、北大西洋からバレンツ海に流入する海洋熱量偏差をソースとして約1年前から予測可能であり、夏季海氷面積は海氷の熱的持続性をソースとして数ヶ月前から予測可能であることを示した。また、温暖化トレンドがなくても北極海の海氷面積は2007年や2012年に観測された減少量に匹敵する大激減が起こり得ることを示した。さらに、春の海氷厚偏差の持続性が夏の海氷予測の精度に重要であり、太平洋側北極海の海氷がソースになっていることを初めて示した。
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