研究課題
森林減少・劣化が著しいラオス北部を対象に、その抑制のための活動(REDD+活動)が進められている。そのREDD+活動の対象地のうち、異なる民族で構成される6村を象にREDD+活動の成果を総合的に評価するための手法開発を進めた。REDD+対象地における森林減少・劣化の抑制効果(≒GHG排出削減量)を土地被覆の解析から定量的に示し、同時にREDD+活動(代替生計)の導入による生活システムの変化を民族別及び村別に解析した。いずれの村でもGHG排出量は減少した。ただし、民族で比較すると地方政府の方策に基づき導入された代替生計としての家畜飼育・生産への受容性がモン族で高く、カム族で低かった。この結果から、REDD+活動の期間(2012年から2018年)においてモン族とカム族の世帯収入の拡大が顕著だった(格差の拡大)。これは民族の特徴を捉えずにREDD+活動を導入・実施したことに起因しており、REDD+活動と生活システムのトレードオフだと考えられた。村別では、世帯あたりの土地面積が広いHouayha村等で生計手段が焼畑移動耕作から代替生計(家畜飼育・生産等)に移行した。一方、世帯当たりの土地面積が狭いHouahtho村等では、代替生計(家畜飼育・生産等)を行うために森林への火入れが増加する結果となった。つまり、森林減少・劣化への対策効果に大きな差があった。これは、村の自然資源量の大小を考慮せずに一律で代替生計を進めたことに起因していた。以上から、REDD+活動を行うにあたり、地域もしくは村の特徴に配慮すること、つまり公平性を確保していくことが重要になることを示した。
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Environment, Development and Sustainability
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