アマゾンの森林伐採跡地での大規模及び小規模の両農地での灌漑が少しずつ増えている。しかし、統計上では全く報告されていないため実態が不明瞭である。そこで本研究は、以下2つを目的として研究を進めてきた。 1)天水/灌漑農地データベースを構築し、その立地・拡大条件を明らかにする。 2)得られた農地データから天水/灌漑農地拡大シナリオを作成し、最新の水資源モデルを用いて水需給シミュレーションを行い、水文環境影響評価からその持続可能性について明らかにする。 今年度は、前年度より引き続き大規模及び小規模農地の灌漑地シナリオと最新の水資源モデルを用いて過去期間の水需給シミュレーションを行った。大規模農地(50haより大きい面積)については、2021年に公開されたMapbiomas Collection 6(LANDSAT衛星より作成され、空間解像度は30m)の土地利用データを利用した。小規模農地(50ha以下の面積)についても、Mapbiomas Collection 6を基本的には利用する。小規模農地の一部である土地なし農民占有地は、占有権が認められた地域を示すブラジル全国データベースから法定アマゾン地域を抜き出すことで、土地なし農民占有地域として利用した。これは、Mapbiomasで示される空間解像度では不足であるためである。現在までのアマゾン地域での灌漑状況は現地観測以外の情報がないため、前年度までに作成した灌漑地シナリオを用いて過去の気候データを用いて取水源ごとの水需給シミュレーションを行った。 加えて、1980年以降の土地利用変化と上位5つの農作物及び牧牛との関係及び、その輸出先との関係について明らかにした。森林から農地への変化により大豆に加えてトウモロコシ・綿花の輸出が劇的に増加していることが明らかとなった。
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