研究課題/領域番号 |
17K12849
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
白澤 紘明 信州大学, 農学部, 助手(特定雇用) (50629186)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | バイオマス発電 / シミュレーション / サプライチェーン / ロジスティクス / 持続可能性 / 森林資源管理 |
研究実績の概要 |
本年度はまず、昨年度整備した森林、地形、道路についてのGISデータならびに構築したシミュレーションモデルを用いて、比較的単純な仮定に基づくシミュレーションを実施しシナリオ分析を行った。ここでは、長野県内に設置された発電プラントを対象に、シミュレーション期間は60年、収穫対象の森林は長野県内の全人工林、発電プラントの年間需要量は一定として、長野県内に設置された発電プラントの原料調達にかかる費用を試算した。 ここでの調達費用とは林地での伐倒から発電プラントでの荷下ろしまでのすべての工程で発生する費用である。シミュレーション結果の概要は以下のとおりである。時間が経過するにつれ、調達費用の安価な、条件の良い林分は減少した。その結果、調達費用は上昇し、最終的には1,000円/m3以上高騰してしまった。調達費用の高騰は発電プラントの経営を揺るがす大きな問題であり、その安定性が危ぶまれる可能性が示唆された。 続いて、より現実に即したシミュレーションが実行できるよう数理計画モデルを定式化した。数理計画モデルには、工場の需要を満たさねばならない、森林資源の持続可能性を担保するために、ある地域からの伐採量は一定量以下に抑えねばならないといった制約条件を適切に組み込んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分ではないものの最終年度に実施予定であったシミュレーションモデルを用いたシナリオ分析を実施でき、発電プラントの安定性を評価することができた。一方、数理計画モデルに関しては、定式化は完了したものの、実装までは実現できなかった。このように、予定よりも進展した実施項目もあれば、予定通りに進展しなかった実施項目もあることから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
数理計画モデルについては実装作業を完了させる。続いて、将来予想される様々な条件を反映させたシナリオを作成する。上記モデルとシナリオを用いたシナリオ分析を実施し、発電プラントにおける調達費用の変動ならびに安定性を定量的に評価する。さらに安定性が危ぶまれる場合にとるべき方策を明示し、発電プラント並びに森林資源の持続可能性を担保するうえで有用な支援情報の提供を目指す。研究成果を取りまとめ、学会や研究集会等で発表し、学術誌に投稿する。
|