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2018 年度 実施状況報告書

低炭素社会を実現するポリマー分解微生物のハイスループットスクリーニング法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K12852
研究機関小山工業高等専門学校

研究代表者

高屋 朋彰  小山工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (90515553)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード放線菌 / 可視化 / ポリオレフィン / ハイスループットスクリーニング / 脂肪族ポリエステル / 生分解 / 低炭素社会
研究実績の概要

本研究では、多孔質膜と発色試薬を組み合わせたポリマー分解微生物のハイスループットスクリーニング法【ワンポット法】を開発し、ポリマー分解微生物を高感度に探索し、その分解性を迅速に評価した。本年度は、以下の結果が得られた。
1.炭素源を含まない合成寒天培地にアルデヒド反応を検出する発色基質を混釈し、炭素源としてPIP膜を用いて分解微生物の検出を行ったが、生育した放線菌の周囲に発色を確認することは困難であった。現在、PIPの生分解に関与するoxygenaseと反応する合成発色基質の設計について、更なる検討を予定している。
2.ワンポット法を用いて、オレフィン系ポリマー(PIP)膜を唯一の炭素源として増殖・分解する微生物8種類を土壌から新たに単離することに成功した。16S rRNA遺伝子配列解析の結果、これらの微生物はすべてStreptomyces属の放線菌と高い相同性(99%以上)を示した。
3.ワンポット法を用いて、オレフィン系ポリマー(PIP)や脂肪族ポリエステル(PBSA)の分解性評価を行った。3~7日間の微生物処理を行った多孔質PBSA膜の材料強度を測定した結果、Streptomyces属(2種類)で処理したPBSA膜の相対材料強度は、培養3日目ではコントロールと比較してそれぞれ61%および25%、培養7日目ではコントロールと比較してそれぞれ20%および18%まで低下した。また、培養3日目で材料強度の低下率の高かった菌株のほうが1か月後のポリマーの平均分子量が低い値となった。この結果、材料強度を指標としたワンポット法による多孔質PBSA膜の迅速な分解性評価が可能となった。一方、PIPの場合は発泡剤や架橋剤を用いずに多孔質化することが困難であり、また、その粘弾性によって孔形成が阻害されたことから、GPCを用いた分子量分布による分解性評価が必要であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究で開発したワンポット法によって、オレフィン系ポリマー(PIP)を分解する複数の微生物の発見・単離・同定に成功している。さらに、多孔質化した脂肪族ポリエステル(PBSA)をポリマー分解微生物によって数日間処理し、その材料強度を評価することによって、従来法(土中埋没法やハロー法)と比較して、迅速な分解性評価を行えることを明らかにしている。これらの状況から研究目標は概ね達成できている。一方、オレフィン系ポリマーを用いて発泡剤や架橋剤を用いない多孔質シートを作製することが困難であるという課題が残されているため、引き続き、オレフィン系ポリマーを用いた多孔質シートの安定的な作製方法について検討する。

今後の研究の推進方策

ワンポット法によるハイスループットスクリーニングを高度化するため、オレフィン系ポリマーの分解微生物の検出に適した発色指示薬の検討を継続する。また、分解に影響しない材料を構造支持体としてオレフィン系の多孔質ポリマー膜を作成し、自然界からのPIP分解微生物の探索を推進する。さらに、その他のポリオレフィン系ポリマーを炭素源とした分解微生物の探索にも取り組んでいく予定である。

次年度使用額が生じた理由

オレフィン系ポリマーの多孔質膜の製法の確立が遅れたため、ポリマー分解微生物の単離・同定や分解性評価に必要な物品購入に影響を及ぼしており、結果的に使用額が減少し次年度へ予算執行をスライドしている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Development of a new screening method for detection of polymer-degrading bacteria2018

    • 著者名/発表者名
      Tomoaki Kouya, Kei Nishii, and Satoru Izawa
    • 学会等名
      10th International Conference of Modification、Degradation and Stabilization of Polymers (MoDeSt 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] ポリマー分解細菌の迅速検出と生分解能評価のための新しいスクリーニング法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      高屋 朋彰,伊澤 悟,西井 圭
    • 学会等名
      第4回北関東磐越地区化学技術フォーラム

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公開日: 2019-12-27  

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