研究課題/領域番号 |
17K12856
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
八木 迪幸 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 特命准教授 (50708550)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 特許ストック / PATSTAT / 環境技術 / 包絡線分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、環境技術特許を定量化、指標化し、マクロ・ミクロレベルで技術革新の要因を明らかにすることである。平成29年度は環境技術開発の状況を定量化するために特許データベース(欧州特許庁PATSTATより)を構築し、フロー(出願数)とストック(生存特許数)とを国別で比較した。1990年から2010年において、まず全世界の特許出願数は103万件から195万件(+89%)、生存特許数(ストック)は1510万件から3121万件と増加した(+107%)。一方で、1990年から2010年の環境特許に関しては、出願数は1.7万件から6.1万件(+249%)、生存特許数は27万件から67万件と増加した(+146%)。考察として、特許数に関してはフローもストックも増加傾向にある。環境特許の増加率は、全体よりも大きいことから、環境技術開発が全世界的に促進されていることが伺える。このデータを用いて、包絡線分析を用いて、労働、資本ストック、特許ストック、エネルギー使用を投入4要素、国内総生産(GDP)を望ましい産出、温室効果ガスを望まない産出として、分析を行った。ラグランジュ乗数法を用いて、特許ストックのシャドウプライス(限界費用、1件あたり百万USドル)を計算すると、全体(92か国)、OECD(35か国)、非OECD(57か国)で、それぞれ平均が-59.116、-0.442、-95.144百万USドルで、(GDPによる)加重平均が-0.106、-0.054、-0.821百万USドルである。シャドウプライスと投入量を掛け合わせて費用総額を計算すると、OECD35か国と非OECD57か国では、それぞれGDP比(GDPを100%とする)で、平均が-3.34%と-18.18%である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、特許データベースの構築が国レベルである程度完了した。そして、次年度行う予定の、包絡線分析を用いた(環境)技術の生産性指標化をシャドウプライスという形で行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に定量化したデータを元に、主に環境技術革新を中心として、技術イノベーションの指標化を提案したい。特に、包絡線分析を利用した経年での生産性変化を中心に調査を行う。これは、これまで申請者が行ってきた手法を参考にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
特許データベース構築がスムーズに行えたために、使用額が生じた。これらの金額は、次年度以降のモデル調査の際に使用する。
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