研究課題/領域番号 |
17K12856
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
八木 迪幸 信州大学, 経法学部, 講師(特定雇用) (50708550)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 特許ストック / 包絡線分析 / 恒等式モデル / 環境効率性 / 環境マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、環境技術(特許)を定量化、指標化し、マクロ・ミクロレベルで技術革新の要因を明らかにすることである。まず特許ストックのシャドウプライス推計では、92か国1992年~2010年のデータを用い、前年度の包絡線分析モデルでは、労働、資本ストック、特許ストック、エネルギー使用、GDP、温室効果ガスの6つを考慮したモデルを推計した。今年度は、人口の代わりに人的資本、エネルギーの代わりに自然資本を用いたモデルを推計した。これら2つのモデルでは、特許ストックの価値はGDPでそれぞれ-5.8%と-2.9%であった。 次に、環境技術の前提として環境効率性を推計するために、CO2と廃棄物に着目した企業版茅恒等式のモデル開発を行った。CO2モデルは、CO2を次の6つの項に分解する:炭素強度(CO2÷エネルギー)、エネルギー強度(エネルギー÷原価)、売上原価率(原価÷売上)、総資本回転率(売上÷総資本)、レバレッジ(総資本÷株主資本)、株主資本。廃棄物モデルでは、廃棄物を同じように6つの項に分解するが、炭素強度とエネルギー強度の代わりにマテリアルロス率(廃棄物 ÷原材料)と原材料原価比率(原材料÷原価)を用いる。実証研究として、日本企業データを用いて分析を行った結果、頑強な結果としては、廃棄物とCO2の要因は、レバレッジ(負債)が負、企業サイズ(株主資本)が正の影響が示された。また、追加の分析として、環境マネジメントの実地調査として、マテリアルフローコスト会計に関する調査をタイとベトナムで行った。また、生産性分析の追加分析として、新国富指標を用いて、日本の生産性分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、前年度構築した特許データベースを使った分析をある程度進展させ、これまでの研究成果を元に、来年度に向けた分析の準備を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
定量化したデータを元に、主に環境技術革新を中心として、技術イノベーションの指標化を提案したい。特に、恒等式による分解モデルや包絡線分析を利用した経年での生産性変化を中心に調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース構築がスムーズに行えた一方で、実際のモデル調査がそれほど進展せず経費が掛からなかったために、次年度使用額が生じた。これらの金額は、次年度のモデル調査の際に使用する。
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