これまでにCoxeterのねじれ正多面体の一つである立方体を基本形とした立体に対して一つの立方体を追加することのみで,フレームワーク全体を剛にできることを明らかにしていたが,本年度はOvervelde らが提案した28種類の柔軟な一様ブロック積みに基づく立体について,同様に単位立体を追加することで剛にできるかを検討した.その結果,全ての立体について剛にできることが明らかとなり,大きな一様ブロック積みに基づく立体を作成した場合にも,一つの単位立体を追加することで全体を剛にすることができることが分かった.このことから,例えばその単位立体を剛にしたり柔軟にすることができればフレームワーク全体の形状を変化させることができる. また,panel-hingeフレームワークは紙で容易に模型作成ができるが,bar-jointフレームワークは自由な回転を許したピン接合を3次元で簡単に作成することができていなかった.そのような際に,"多面体百科(宮崎興二 著)”にて紹介されているフィンランドの伝統的な工芸品である”ヒンメリ"によって作成すれば良いと気づいた.そこで本研究期間内にて,これまでに論文発表していた形態生成手法を用いて模型作成をし,”組合せ剛性ヒンメリ"と名付けた作品を作成し,フィンランドにて開催予定であったBridges2020に応募し,採択決定となった.これまでのヒンメリ作品は明らかに剛な立体についての制作物が多く見られるが,組合せ剛性理論を用いることで,より多様な作品を制作可能であることを明らかにし,また理論研究においても模型作成によって容易に確認することができるようになり,今後の研究,創作活動において非常に有用な成果を得ることができた.
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