研究課題
ベクションの過去の重要研究に基づいて、ベクションのレクチャー動画を製作した。5分の長さのレクチャー動画を三つ作成し、Youtubeと妹尾研究室のHP上で公開した。具体的には、作品は下記のようなものである。 全体: https://www.youtube.com/channel/UCljP8luiIihKCWEExOEsIAA第一回: https://www.youtube.com/watch?v=o6C76n03pdY&t=21s 第二回: hhttps://www.youtube.com/watch?v=7SMgykMl2os&t=2s 第三回: https://www.youtube.com/watch?v=qWWUmSvY0fU&t=4sこれによって、研究業界とコンテンツクリエイティブ業界をベクションという一つの話題でつなぐ活動を実現できた。さらに、日本語のみではなく、洗練された英文を字幕として補うことで、日本国内だけに留まらせず、国際的に、ベクションの理解が促進されるように工夫を施した。さらに、7名の視覚イメージのプロに対して、我々の取り組みについてインタビューを行い、それを論文の形にまとめて、現在投日本視覚学会の論文雑誌VISIONに稿中である。合わせて、種々のベクションの基礎研究も行った。具体的には、単眼観察と両眼観察によるベクション知覚の違いなどについて、実験を行い、単眼観察ではベクションが十分に強く得られないことなどを明らかにして来た。他にも多数の心理実験を行い、ベクションについての新規な特性について明らかにして来た。基礎実験を充実させ、その応用的な活用場面をアートをはじめとしたコンテンツ業界に提供することこそが、本科研費課題の最大の目的であったので、それを初年度から高いレベルで実現できたものと自負する。
2: おおむね順調に進展している
上記に記載したとおり、5分程度の3本のベクションレクチャ動画を制作し、世界に公開した。動画のトータルでの視聴回数はまだ700回程度であり、目標には到達していないが、今後千回、一万回と回数を着実に増やして行きたい。7名の視覚イメージのプロに対して、ベクションの実験心理学から、コンテンツクリエーティブ系の業界へのアプローチに対しての評価をしていただき、これまでの活動の妥当性を確かめることに成功した。さらに、1名のアニメ映像監督にもインタビューを行うことが実現できた。我々の試みは、心理実験と映像制作現場をつなぐというものである。そのため、一定以上の成果が初年度に実現できたことは大きな励みとなっている。ますますの発展、を期待できるように、積極的にコンテンツの開発しゃと交流を取って行きたい。もう一つ、大きな事業として、現代芸術作家の雨宮庸介さんとの共同でのアート作品の制作を報告したい。雨宮庸介さんに、ベクションを含めた、心理学、心理哲学、の話を時間をかけて行い、それらの知識をベースにアート作品の制作をお願いした。知覚世界と物理世界の違いなどをテーマに、2018年 3月26日から一週間の間に、渋谷のヒカリエという大型施設の8階において、美術展示「びゅーVIEWビュー展」を開催した。展覧会の参加者は20000名程度となり、十分な評価を得た。NHKラジオにも取り上げられた。この活動を通して、実験心理学のアート的な側面、圧倒的なアウトリーチが実現できた。学問としての心理学が、一般社会に大きなインパクトを与え得るという事例をこの展覧会を通して実現できたと自負している。今後も、こう言った、アーティストとの連携を経て、実験心理学とベクションの発展的で魅力のある活動をより進展して行きたい。
今年度は7名の視覚イメージのプロから、我々の取り組みに対しての意見をもらった。さらに1名のアニメ映像監督からも意見をもらった。7名の視覚イメージのプロのうちの1名であった、現代美術家の雨宮庸介さんとは、渋谷ヒカリエにおいて、心理学をテーマに据えた、展覧会を成功させることも実現できた。今後の研究の進展として、より多くの現代美術作家との協力体制を築き、より発展的で、魅力のある実験心理学のアート化、実験心理学のデザイン化、ベクションのコンテンツ化、を進めて行きたいと思っている。さらに、深層学習などAIを用いたベクション刺激の制作、深化についても実現をして行きたい。その中で、国立情報学研究所の池畑諭先生などと共同研究体制を強いて、ベクションの深層学習、AIによるベクション刺激の制作などを実現して行きたいと思っている。これらと同時並列的に、ベクションの人間知覚の基礎研究の発展、進展も必要になってくるだろう。具体的には、質感知覚とベクションの関係、人物のビジュアルイメージをベクション刺激に投影させる実験、状態不安の変化によるベクション知覚強度の変化などについて、心理実験を通して明らかにしていくことが重要であると思っている。これらについては、既に実験に着手しているので、確実に形にしながら、論文を刊行し、目に見える形での成果報告をもたらしたい。これらの応用的なベクションの可能性の模索と、基礎実験によるベクションについてのより深く、高い理解を実現するという車の両輪を同時に進めることこそが、本科研費の最大の目的であり、魅力でもあるはずだ。そのことを深く念頭において、二つの軸をしっかりと進めて参りたいと思っている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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