研究課題/領域番号 |
17K12877
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
池添 純子 徳島文理大学, 人間生活学部, 准教授 (50515624)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 地域包括ケア / 日常生活圏域 |
研究実績の概要 |
高齢者の医療と介護の連携を推進するために、近年様々な法整備がなされているが、高齢者の生活を支えるシステムを構築するうえで、その連携エリアをどのような単位で考えるかは非常に重要である。このような視点に立ち、今年度行った研究は以下の通りである。 (1) 第7期介護保険事業計画及び在宅医療と介護の連携推進エリアに関する全国調査分析 2018年度から開始された第7期介護保険事業計画(2018年~2020年度)及び第7次医療計画(2018年度~2023年度)で検討される、医療と介護の連携を目的とする圏域設定等について、全国の市町村及び特別区1741自治体を対象とした悉皆調査(回収率36.3%)を実施(2019年度)した結果の分析を進めた。 在宅医療と介護連携推進を目的とするエリアの関係について、日常生活圏域が複数設定されている自治体を対象に、自治体人口規模別にカイ二乗検定を行った結果、人口3万人以下の場合は「3種類(在宅医療・日常生活圏域・地域包括支援センター担当圏域)すべてのエリアが一致」、人口10万人~50万人未満の場合は「エリアが一致しない」割合が多いことに有意な差が得られた。また、今回調査と前回調査(2006年実施)の結果を比較すると、日常生活圏域及び包括エリアの設定目安や設定理由に大きな変化はみられなかった。分析結果より特徴的な自治体を選出しヒアリング調査を実施する予定であったが、コロナ禍の状況を鑑み見送った。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により補助事業期間の延長を申請した。 (2) 高齢者の生活支援に関する調査 徳島県下の中山間地域において、高齢者の生活支援を行う団体、支援内容、対象エリア、地域包括支援センター等との連携状況に関する調査を行った。取組み主体は、社会福祉協議会や地域住民団体など地域により異なり、地域包括支援センターとの連携状況も地域差があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍において現地でのヒアリング調査を実施することが困難であり、研究が遅れている。調査対象となる高齢者行政の担当課や高齢者福祉施設は、感染対策等の業務量が増大している状況にあるため、オンライン等他の手段による調査依頼も見送った。
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今後の研究の推進方策 |
(1)高齢者の生活を支える在宅医療と介護の連携エリアに関する事例調査 全国悉皆調査結果より、日常生活圏域と包括センターの関係、地域包括ケアシステムの進捗状況等を踏まえてタイプ分けをする。タイプごとに実態の詳細を把握するため典型的な事例を選定し、ヒアリング調査を実施する。令和4年度はコロナ禍の状況に応じて、現地のヒアリング、オンラインのヒアリング、質問状への紙面回答等、調査方法を先方と調整したうえで、調査を実施する。 (2)海外における在宅医療と介護の連携エリアに関する調査 約10年前に調査実績があるスウェーデン及びカナダにおいて、現地協力者と調査内容を協議し、可能な方法で調査を実施する。現地協力者の調整が困難な場合は、調査地域を変更して実施することも検討する。 (3)介護と医療をトータル支援できる地域包括ケアシステムに適した日常生活圏域の検討 国内の実態と海外の先進事例の比較、また10年間の変化に基づき、介護と医療をトータル支援するための地域モデルを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた市町村へのヒアリング調査、海外現地調査の旅費、海外調査に付随する謝金等の支払いが発生せず、次年度使用額が生じている。
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