研究課題/領域番号 |
17K12877
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
池添 純子 徳島文理大学, 人間生活学部, 准教授 (50515624)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / 地域包括ケア / 日常生活圏域 |
研究実績の概要 |
高齢者の医療と介護の連携を推進するために、近年様々な法整備がなされているが、高齢者の生活を支えるシステムを構築するうえで、その連携エリアをどのような単位で考えるかは重要である。このような視点に立ち、今年度行った研究は以下の通りである。 (1) 第8期介護保険事業計画及び第7次医療計画における地域包括ケアシステムの進捗度調査(計画) 第8期介護保険事業計画(2021年~2023年度)及び第7次医療計画(2018年度~2023年度)にて推進する地域包括ケアシステムについて、各自治体の進捗状況を把握するため、調査準備を行った。すでに本研究で実施済みの2019年調査で、(1)在宅医療・介護連携の推進、(2)介護サービスの体制整備、(3)介護予防サービスの体制整備、(4)生活支援サービスの体制整備、(5)住み続けられる高齢者住まいの整備、(6)地域ケア会議の推進、(7)地域共生社会の実現の各項目に関する進捗度の回答を得ており、約5年後の状況を比較するものである。年度当初は2022年度に調査を実施する予定であったが、コロナ禍の終息が見込めず、調査先の負担を考慮し、2023年度の実施へ見送ることとした。医療と介護の連携エリアの設定状況と、地域包括ケアシステムの進捗状況の関係性を分析する予定である。 (2) 高齢者の生活支援に関する調査 徳島県南部の漁村集落において、高齢者の生活支援を行う団体に、支援内容、対象エリア、地域包括支援センター等との連携状況に関する聞き取り調査を行った。対象とした地域は2006年に二町が合併した自治体で、団体が活動するエリアには本庁が無く、以前は地域包括支援センターとの連携もできていなかった。しかし、2020年から高齢者の生活支援を積極的に実施し始めたところ、現在は地域包括との情報共有も進展しているとのことであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍において、調査対象者となる介護行政担当部署は業務が逼迫しており、調査を依頼・実施することが困難であったため研究が遅れている。今後は以前よりも落ち着きが見込めるため、オンライン等の手段も有効活用し研究を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)高齢者の生活を支える在宅医療と介護の連携エリアに関する追跡調査 2019年の全国悉皆調査結果より、日常生活圏域と包括センターの関係、地域包括ケアシステムの進捗状況等を踏まえてタイプ分けをする。タイプごとに実態の詳細を把握するため典型的な事例を選定し、ヒアリング調査を実施する。現地及びオンラインのヒアリング、質問状への紙面回答等、調査方法は調査先と調整し、研究を遂行する。また、医療と介護の連携状況と地域包括ケアシステムの進捗状況を分析するため、2019年調査で回答を得た自治体を対象に、約5年が経過した現在の進捗状況を調査する。 (2)海外における在宅医療と介護の連携エリアに関する調査 スウェーデンまたはカナダにおいて、現地協力者と調査内容を協議し、オンラインを活用しながら調査を実施する。現地協力者の調整が困難な場合は、調査地域を変更して実施することも検討する。 (3)介護と医療をトータル支援できる地域包括ケアシステムに適した日常生活圏域の検討 国内の実態と海外の先進事例の比較、また10年間の変化に基づき、介護と医療をトータル支援するための地域モデルを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、予定していた市町村へのヒアリング調査、海外現地調査の旅費、海外調査に付随する謝金等の支払いが発生せず、次年度使用額が生じている。
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