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2021 年度 実施状況報告書

繊維、プラスチック、タンパク質の吸着特性の解析と新しい鑑別法の提案

研究課題

研究課題/領域番号 17K12878
研究機関活水女子大学

研究代表者

稲田 文  活水女子大学, 健康生活学部, 講師 (80705400)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード吸着 / ポリアミノ酸 / 分子間相互作用 / 有機化合物
研究実績の概要

1.緒言
「高分子と低分子の分子間相互作用」は科学の諸現象を考察する際に基本的な概念である。しかし、複雑な因子が多く、研究は極めて少ない。そこで、単純化した分子間相互作用のモデルとして、高分子素材に対する有機化合物の吸着現象に着目した。これまでに、各種天然・化学繊維が、有機化合物を選択的に吸着する事を見出した。課題を単純化して、「構造が少しだけ異なるポリアミノ酸の構造と吸着傾向の関係」を検討した。
2.実験 吸着媒 ポリアミノ酸:各種アミノ酸のN-カルボキシ無水物(NCA)を合成した。純度の高いアミノ酸NCAを用いて、ブチルアミンを開始剤として、溶液または固相で行った。重合によって、ポリ(γ-メチル-L-グルタメート)(PMLG)、ポリ(γ-エチル-L-グルタメート)(PELG)、ポリ(γ-ベンジル-L-グルタメート)(PBLG)を得た。吸着物質 有機化合物(ベンゼン置換体,アセトニトリル,ジオキサン,DMF,デカン、炭素数の異なるアルコール)など。
2) 吸着実験:実験用に設計した密閉容器の底部に、1種類の有機化合物のみ、または複数の有機化合物の混合物を入れ、その蒸気を各種ポリアミノ酸に所定時間(40℃、24h)さらした。吸着物質を酢酸エチルで抽出して、GC分析(装置Shimadzu GC-2025)を行った。アミノ酸残基に対する化合物の吸着量を計算した。
3.結果と考察 各種ポリアミノ酸に対して、9種の有機化合物の混合物からの吸着を検討した結果、次の事がわかった。1)各種ポリアミノ酸は、蒸気圧の高いメタノール、アセトニトリル、ジオキサンの吸着量が多かった。2)PMLGは、側鎖が短いため、分子の長いデカンは吸着しにくいとい考えられる。3)PELGはPMLGやPBLGと比べ、ベンゼン置換体を吸着しやすい。この結果、各種ポリアミノ酸の分子構造が吸着傾向に反映したと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ポリアミノ酸の側鎖の違いが吸着傾向に反映したことが示唆された。

今後の研究の推進方策

今後、獣毛繊維の吸着傾向の違いとアミノ酸組成の影響の相関性を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、学会発表参加の旅費が不要となり、予算を次年度に繰り越すこととなった。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 被服製作おけるオンライン授業の実践2022

    • 著者名/発表者名
      稲田文
    • 雑誌名

      一般社団法人日本家政学会被服材料部会部会報

      巻: 36 ページ: 11-15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ひらめき☆ときめきサイエンス実施を通した衣生活教育の実践2022

    • 著者名/発表者名
      稲田文
    • 雑誌名

      活水論文集

      巻: 65 ページ: 77-84

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 東京電力福島第一原子力発電所事故以降に福島県及び周辺地域で採取された土壌資料の整備及びデータベースシステムの構築2021

    • 著者名/発表者名
      辰野宇大, 稲田文, 塚田祥文
    • 雑誌名

      RADIOISOTOPES

      巻: 70 ページ: 323-327

    • DOI

      10.3769/radioisotopes.70.323

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 繊維・高分子材料と有機化合物の相互作用44. ポリアミノ酸の立体構造と吸着特性の相関性2021

    • 著者名/発表者名
      稲田 文,金澤 等
    • 学会等名
      2021年繊維学会秋季研究発表会
  • [学会発表] アミノ酸N-カルボキシ無水物の反応性の再検討97. アミノ酸NCA結晶の純度と反応性の関係2021

    • 著者名/発表者名
      金澤 等,稲田 文
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] アミノ酸N-カルボキシ無水物の反応性の再検討96. まだ重合していない高純度のアミノ酸NCAを使用する実験の必要性2021

    • 著者名/発表者名
      金澤 等,稲田 文
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 繊維・高分子材料と有機化合物の相互作用43. 有機化合物の吸着によるポリアミノ酸の識別の可能性2021

    • 著者名/発表者名
      稲田 文,金澤 等
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 環境に配慮した綿花栽培を家庭科教材に生かすために2021

    • 著者名/発表者名
      稲田 文,稲田桃子,寺田貴子
    • 学会等名
      日本家政学会九州支部 第66回大会
  • [学会発表] 繊維・高分子材料と有機化合物の相互作用42. 有機化合物の吸着によるポリアミノ酸の識別2021

    • 著者名/発表者名
      稲田 文,金澤 等
    • 学会等名
      2021年度繊維学会年次大会
  • [学会発表] 有機化合物の吸着による繊維鑑別の可能性の検討2021

    • 著者名/発表者名
      稲田 文,金澤 等
    • 学会等名
      日本家政学会 第73回大会
  • [学会発表] 繊維・高分子材料と有機化合物の分子間相互作用41. 各種繊維の吸着特性2021

    • 著者名/発表者名
      稲田 文,金澤 等
    • 学会等名
      第70回高分子年次大会

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公開日: 2022-12-28  

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