研究課題/領域番号 |
17K12879
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
萬羽 郁子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (20465470)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 木材 / におい評価 / 高齢者 / 若年者 / アンケート調査 / スギ / ヒノキ |
研究実績の概要 |
2010(平成22)年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、公共建築物等での木材利用が進んでいる。これまでにも、木材の有効活用などを目指し、内装木質化による心理的・生理的効果の検証は行なわれてきたが、健康な若年者を対象とした調査研究が多かった。本研究では、高齢化が進む中で、高齢者施設や住宅の内装木質化による効果を明らかにすることを目的とする。平成29年度には、若年者と高齢者(男女各12名、計48名)を対象とし、乾燥方法の異なるヒノキ材4種類、産地・乾燥方法の異なるスギ材9種類、合板2種類(計15種類)のにおい評価実験を行なった。におい評価では、強度、快不快度、容認性、印象評価を行なった。 その結果、若年者(特に女性)は高齢者に比べて、木材のにおいについて不快側の評価をし、高齢者の方がより木材のにおいに対して親しみを持っていることが明らかとなった。また、木材の産地や乾燥条件によってもにおい評価結果には大きな差があり、特に天然乾燥または高温乾燥で刺激性を感じる場合に不快側の評価をされていた。快適側の評価がされていた材は、印象評価で「安心する」「親しみやすい」「集中できる」「落ち着く」といった様な効果を得ていることが明らかとなった。 この様に、平成29年度には、木材のにおいによる効果に着目し、若年者と高齢者の心理評価結果を比較してきたが、これらの結果を踏まえて、平成30年度には、木材の見た目やにおいに対する生理的反応についても検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度には、若年者、高齢者を対象としたにおい評価実験を実施し、年齢によるにおい評価や嗜好性の違いを把握することができた。この結果を元に、引き続き、内装木質化による効果検証を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、木材のにおいによる効果に着目し、若年者と高齢者の心理評価結果を比較してきた。これらの結果を踏まえて、平成30年度には、若年者と高齢者を対象とし、木材の見た目やにおいに対する心理・生理実験を実施する予定である。主観評価と生理反応との関連性や、におい以外の見た目や触感等の影響についても検討していく。
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