研究課題/領域番号 |
17K12892
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研究機関 | 尚絅大学短期大学部 |
研究代表者 |
相良 剛史 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60353132)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | めかぶ / 製パン性 / 抗酸化活性 / 物性 / 官能評価 |
研究実績の概要 |
低・未利用水産資源に生活習慣病予防効果などの機能性を見出し、適切な抽出法および濃縮法を検討することにより、それらの機能性食品原料や医薬品原料としての利用を促進するとともに、調理加工における機能性の変化を検討し、機能性成分を効果的に摂取するための嗜好性を加味した調理加工法を開発することを目的に研究を行っている。今年度は前年度までの研究成果を基に、わかめの各部位に含まれる機能性成分の含有量と生理活性の関係について検討を加えるとともに、各種わかめ乾燥粉末の添加が製パンに与える影響について検討を行った。わかめの各部位に含まれる総ポリフェノール量はめかぶ>葉わかめ>茎わかめの順に多く、抗酸化活性およびラジカル消去活性の値と高い相関を示していたが、これらの生理活性のうちポリフェノールに起因しているものは約3割程度であることが明らかになったことから、わかめの各部位にはポリフェノール以外の生理活性物質も均等に含まれていることが示唆された。一方、わかめ乾燥粉末の添加が製パンに与える影響について検討した結果、比容積では無添加>めかぶ>葉わかめ>茎わかめ粉末添加の順となり、かたさ応力や官能評価もめかぶを添加したパンが無添加に次いで良好な結果を得ていたことから、製パン原料にわかめ乾燥加工品を用いる際には、機能性が高く製パン性を損ないにくい乾燥めかぶ粉末を使用することが最も効果的であるものと思われた。各種わかめ乾燥粉末を添加したパンの加工前後における機能性の変化については、現在、検討を行っている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では人体に有効な濃度の機能性成分を含む加工食品を製造し、その健康効果を見極めることを目標としていたが、有効成分と同時に濃縮される食品成分が加工特性に与える影響が大きかったため、濃度を高めることよりも加工による機能性の変化を見極めることを優先して研究を進めることにした。そのため、研究の一部は順調に進められているが、コロナウイルス感染拡大の影響により官能評価等の実施に遅れが生じたことから、研究計画全般にやや遅れが生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は現在検討を行っている調理加工前後における機能性の変化について継続して検討を行い、得られた成果の公表を積極的に行いたい。また、コロナウイルス感染拡大の影響により実施が困難であった大規模な官能評価に関しては次年度に環境が整えば実施したいと考えるが、得られているデータからも一定の考察が可能であるため、劣後の予定としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大の影響により発表を予定していた学会が中止されたため、出張旅費等を支出できなかったが、繰り越し額は僅かであるため次年度に成果発表費用等として支出する予定である。
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