低・未利用水産資源に生活習慣病予防効果などの有用性を見出し、それらの利用を促進するとともに、調理加工における機能性や栄養性の変化を検討し、それらの成分を効果的に摂取するための嗜好性を加味した調理加工法を開発することを目的に研究を行った。本邦で広く利用されているわかめの中肋(茎わかめ)および胞子葉(めかぶ)は加工工程でその殆どが廃棄されているが、これらの乾製品が有するポリフェノールや抗酸化活性は生鮮品には劣るものの相当量が加工工程を経ても残存していることが明らかとなり、特にめかぶはその他の部位の加工品よりも残存割合が高かったことから、めかぶ乾製品の機能性食材としての有用性が示唆された。一方、これら乾製品粉末の添加が製パン性に及ぼす影響を検討したところ、めかぶ乾製品粉末を添加したパンは、その他の粉末を添加したパンよりも硬くなりにくく、比容積も大きく、また、官能評価においても良好な結果となった。他方、めかぶ乾製品のたんぱく質構成アミノ酸含有量(mg/gたんぱく質)は、葉わかめおよび茎わかめ乾製品と比較するとリシン、ロイシンおよびヒスチジンが約2~3割程度少なかったが、それらの粉末を添加したパンの間での差はほとんど無く、アミノ酸スコアは無添加パンが63であったのに対し、葉わかめ粉末添加パンで72、茎わかめ粉末添加パンで70、めかぶ粉末添加パンで69となり、いずれもリシンのみが制限アミノ酸となっていた。スーパーフードとして注目されているスピルリナの食材としての活用を検討するべく、機能性の確認を行ったところ、スピルリナのオートクレーブ抽出物除タンパク質画分はリパーゼ活性を阻害するがα-グルコシダーゼ活性は阻害しないことが明らかとなった。スピルリナ添加パンの検討では物性および官能評価で良好な結果を得ることが出来なかった。
|