魚油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸(PUFA)が、SREBP-1特異的な抑制を介して中性脂肪合成を抑制する機序の解明に取り組んだ。再掲であるが、我々は先行研究で、生きたマウスの肝臓でSREBPの切断活性をin vivo imaging system(IVIS)で評価するアッセイ系を構築し、PUFAがSREBP-1切断活性を特異的に抑制する一方、SREBP-2に対しては抑制しない事を報告し、その機序解明に取り組んでいる。
前年に引き続き、複数のコンストラクトを同時に評価する事が可能となると考えたため、培養細胞を用いた実験系を引き続き検討した。肝臓由来の複数の培養細胞を用いて、自作のSREBP改変遺伝子を細胞に強制発現させた。主にトランスフェクションを行う方法や、アデノウイルス化した改変遺伝子を細胞に感染させる方法を用いて検討した。結果、既報と同様、PUFAがSREBP-1のみの切断活性を特異的に抑制し、SREBP-2に対しては切断活性に影響を与えない細胞培養条件を検討する事が出来た。
今後は細胞培養を用いたスクリーニングの系を活用し、SREBP-1上のドメインは更に絞り込む予定である。その絞り込みを用いてマウスに自作の改変遺伝子を強制発現させ、PUFA投与によるSREBPの切断活性を評価したいと考えている。SREBPに対するPUFAの作用機序をニュートリゲノミクスの観点から解析を続ける予定である。
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