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2018 年度 実施状況報告書

CoQ10を用いたミトコンドリア異常による免疫不全症の治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K12900
研究機関熊本県立大学

研究代表者

谷村 綾子  熊本県立大学, 環境共生学部, 助教 (10610199)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードミトコンドリア / エネルギー代謝 / 細網異型性症 / 免疫不全 / 好中球分化
研究実績の概要

前年度に検証を行っていた好中球分化と小胞体ストレス/UPRの関連については、小胞体ストレスが好中球分化を抑制する役割を担っており、また、ミトコンドリアでのATP産生がUPRやアポトーシスを介して好中球分化を調節していることが示唆されるデータが得られたため、論文で報告を行った。
一方で、前年度までに作製したAK2ヘテロノックアウト(AK2+/-) HL-60株を用いて、平成30年度はAK2+/- HL-60株の基本的な性質について確認を行った。その結果、AK2タンパク質の発現ならびに酵素活性はWTの半分ほどであった。4日間に渡るオールトランスレチノイン酸(ATRA)処理により好中球分化誘導を行い、May-Grunwald Giemsa染色にて形態学的に好中球への分化を確認したところ、後骨髄球および不完全な核分葉をもつ未熟な好中球を認め、分化が障害されていることが確認された。この形態学的特徴は、細網異型性症患者由来iPS細胞を用いた好中球分化でも報告されている。さらに、アポトーシスの割合もWTより多い傾向にあった。ROSについては、細胞全体およびミトコンドリアにおいて、WTとAK2+/- HL-60株でそれぞれATRA処理4日目と1日目で有意な差が見られたが、この影響および原因についてはATP産生量を踏まえつつ、検討中である。
また、解糖系によるATP産生能の促進効果とそれによる好中球分化能の改善については、細胞への取り込みを考慮してフルクトース1,6ビスリン酸の代わりにフルクトースを使用することとした。フルクトースは毒性を示す可能性があるため、適正な使用濃度を検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成30年度は所属大学を移ったこともあり、細胞培養室の立ち上げ、試薬等の再購入、測定機器の確認などのため、十分な進捗を得られなかった。
しかしながら、30年度のうちに最低限必要な機器、試薬は準備することができた。また、AK2+/- HL-60株で細網異型性症患者に近い好中球分化の特徴が確認され、この株を用いた検証が可能であることが示された。

今後の研究の推進方策

計画通り、AK2+/- HL-60株を用い、MitoQ・フルクトースなどによる好中球分化割合の改善を検証する。同時にATP産生能の回復、ROSの抑制についても裏づけをとる予定である。

次年度使用額が生じた理由

大学移動後の細胞培養室や測定機器の設定・確認といった環境面の調整に時間をとられ、研究が十分に進展しなかったのに伴い、試薬や消耗品を予定ほど購入しなかったため。
31年度は計画に従って、ATPやROS測定試薬や細胞関連の消耗品を購入予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Mitochondrial Activity and Unfolded Protein Response are Required for Neutrophil Differentiation.2018

    • 著者名/発表者名
      Tanimura A, Miyoshi K, Horiguchi T, Hagita H, Fujisawa K, Noma T
    • 雑誌名

      Cell Physiol Biochem

      巻: 47 ページ: 1936-1950

    • DOI

      10.1159/000491464.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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