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2017 年度 実施状況報告書

ビオチンによるエピジェネティック制御から探る口蓋裂発生機序の解明とその予防

研究課題

研究課題/領域番号 17K12906
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

澤村 弘美  兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (30555371)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードビオチン / ヒストン修飾 / 口蓋裂
研究実績の概要

近年、妊婦における潜在性ビオチン欠乏の可能性が示唆されている。哺乳動物においては、母体のビオチン欠乏により90%以上の確率で胎仔に口蓋裂が生じることや、催奇形性のある抗けいれん薬の投与によってビオチンの吸収が阻害されることが報告されており、ヒトにおいても妊娠期のビオチン欠乏が胎児奇形と関連する可能性が考えられる。口蓋裂は複数の遺伝的要因と母体の環境的要因が複雑に絡みあって発生する多因子しきい説が有力視されているが、環境要因によるメカニズムの報告は少ない。口蓋裂の発生はエピジェネティクスの不調和によると推察されていることから、in vivo およびin vitroの両系を用いてビオチン欠乏によるエピジェネティック変化の解明を行っている。
平成29年度はin vitroでの検討として、ビオチン欠乏条件下でのヒト胚口蓋間充織細胞(HEPM細胞)におけるヒストン修飾の解析を行った。アビジン樹脂を用いてビオチンを除去し、ビオチン欠乏培地を作製した。ビオチン充足条件下で培養したHEPM細胞との比較を行ったところ、ヒストンメチル化酵素のmRNA発現量にわずかな変化が認められたが有意差は認められなかった。ヒストンビオチン化酵素のmRNA発現量に差は認められなかった。現在、各種ヒストンのメチル化およびビオチン化の解析を進めている。過去のin vivo実験において、ビオチン欠乏条件下ではビオチントランスポーターの発現量が増加することを確認しているが、今回、増加傾向は認められたものの顕著な増加は認められなかった。ビオチン欠乏をより進行させることでエピジェネティック変化が引き起こされる可能性が推測されるため、今後は培養条件を再検討した上でHEPM細胞におけるヒストン修飾の解明を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度内にin vitro実験を終了する予定であったが、現在も解析を進めている段階であり、やや遅れが生じている。しかしながら、ビオチン欠乏妊娠動物の作製や口蓋突起の採取については、過去の研究から実験系が確立できており、in vitro実験において候補分子のスクリーニングが完了すれば、in vivo実験は順調に進めることができると考えている。

今後の研究の推進方策

in vitroでのビオチン欠乏によるエピジェネティック変化を明らかにした上で、in vivoではビオチン欠乏妊娠動物を用いた解析を行う。これにより、in vivo およびin vitroの両系を用いて環境因子による新たな口蓋裂発生メカニズムを探索する。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度内にin vitro実験が終了しなかったため、翌年度への繰越金が発生した。繰り越し分についてはin vitro実験の継続に使用する。残りは、当初の計画通り、実験動物の遺伝子解析やヒストン修飾解析に必要な消耗品等の購入、成果発表のための旅費に用いる予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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