口蓋裂は日本人で頻度の高い先天顔面奇形の一つであり、複数の遺伝的要因と母体の環境的要因とが複雑に絡みあって生じる多因子しきい説が有力視されている。しかし、その発生要因および発生機序については解明されていない。 妊娠マウスにビオチン欠乏食を摂取させた後、妊娠10、11または12日にビオチンを投与したところ、妊娠11日以前にビオチンを投与したマウスにおいて口蓋裂の発生が有意に抑制された。このことから、正常な口蓋形成のためには妊娠11日以前における十分なビオチンの供給が重要であることが明らかとなり、口蓋形成初期においてビオチンが重要な役割を果たしていると推測された。
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