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2019 年度 実施状況報告書

ビタミンEのヒト体内での代謝特性と生理機能の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K12912
研究機関名古屋学芸大学

研究代表者

鈴木 規恵  名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 助手 (80782200)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードビタミンE / 代謝
研究実績の概要

ビタミンEは骨の健康に有益であるとも有害であるともする相反した報告があり、ビタミンE摂取と骨量の関係については、現在のところ結論が出ていない。ビタミンEは一般の人々がビタミン剤やサプリメント等から利用するケースも多いため、骨量に及ぼすビタミンE摂取の影響は早急に解決すべき問題である。ビタミンEとKは同じ脂溶性ビタミンであり同様の経路で代謝されることから、代謝の相互作用が生じることが分かっている。申請者は、前述の問題について「ビタミンE摂取がビタミンK不足を介して骨量を減少させる」との仮説を立てた。本年度はこの仮説を検証するために、骨代謝に及ぼすビタミンE、Kの摂取とそれらの相互作用について骨吸収が有意となる老齢ラットで検討した。
ビタミンKとEの添加量の異なる飼料を作成し、Wistar系ラットに6か月間摂取させた。ビタミンE(RRR-α-トコフェロールの飼料への添加量は、不足(5 mg/kg飼料)、標準(50 mg/kg飼料)、または過剰(500 mg/kg飼料)の3段階とし、ビタミンK(フィロキノン:PK)の添加量は、不足(0.075 mg/kg飼料)、標準(0.75 mg/kg飼料)、の2段階とし、これらを組み合わせた。飼育期間終了後、血液や臓器を回収し、ビタミンE、ビタミンKの濃度をHPLC、骨構造をマイクロCTで測定した。結果、骨構造については飼育開始前に比べて6ヶ月の飼育終了後にすべての群で骨密度の低下が認められたが、ビタミンKやビタミンEの摂取量の違いによる影響は認められなかった。飼育前に比べ飼育後はすべての群で著しく骨密度が低下したことから本実験条件の飼育前後で変化した骨密度には加齢の影響が大きく、ビタミンEがビタミンK不足を介して骨量を減少させるかどうかについて明らかにすることができなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度は短期的な影響についてヒトを対象とした試験をおこなったが、本年はビタミンEの長期的な摂取試験を実験動物を用いて行った。実際の食生活では複数の栄養素を同時に摂取しているという状況を鑑み、ビタミンEと代謝の相互作用があるとされている他の栄養素を組み合わせた実験を実施、解析することができた。

今後の研究の推進方策

これまでに行ったヒトを用いた短期間の介入試験やラットを用いた長期試験の結果から、ビタミンEの摂取により体内のビタミンE濃度が上昇することを明らかにしており、ビタミンEは体内の抗酸化力を上昇させることで疾病の予防に寄与すると考えられる。しかし、多くの人の実際の生活習慣等を考慮した際に疾病予防に有効な生理機能を発揮するかどうかについては明らかでない。そこで今年度は多くの人の生活習慣や疾病構造を反映していると考えられる国連食糧農業機関データベースやGlobal Burden of Diseaseなどのオープンデータベースを用い、ビタミンEを中心としたいくつかのビタミンが健康寿命の延長に寄与するかどうかを縦断的に検討する。

次年度使用額が生じた理由

初年度および本年度に産休育休を取得した影響で、研究を中断したため次年度使用額が生じている。今後1年程度後ろ倒しで計画を進めていく予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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