看護・介護職員、家族介護者などの医療・介護に従事する肥満女性を対象に腸内環境の改善に着目した栄養教育の肥満・心理的健康の改善効果に関する介入研究を実施した。研究参加者は、対人サービスや夜勤を含む交代勤務など、強いストレス環境下に置かれており、抑うつ度や自覚ストレスが高いこと、肥満を有する者の割合が高いことが指摘されている看護・介護職員や家族介護者など医療・介護に従事する肥満女性42名である。介入研究では、ランダム化比較試験を採用し、研究参加者を年齢・BMIで層別化し、介入群(21名)と対照群(21名)に割り当てた。介入群は、約2カ月間、栄養教育プログラムを受講した。研究参加者の身体的指標、心理的指標はアンケートを用いて把握した。腸内細菌叢組成は採便キットを用いて採取した便サンプルから細菌由来DNAを抽出し、16Sリボソーム遺伝子をターゲットとした次世代シークエンサーIllumina MiSeq (Illumina Inc.)によるメタゲノム解析によって把握した。栄養教育プログラム受講後、介入群において食物繊維の摂取量の増加など食事・栄養素摂取に変化が認められた。また、介入群は対照群と比較して、体重やBMI、腹囲の減少が認められた。また、食の選択に与える要因を探索するため、一対一でインタビューを行い、そのデータを用いて質的分析を実施した。分析の結果、「自分自身の健康的な食生活について考える時間の不足」や「健康的な食事の必要性への強い意識」などが食生活に与える要因として明らかになった。
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