研究課題/領域番号 |
17K12921
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
今井 絵理 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (00715948)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 虚弱 / 生活習慣要因 / 食事 / 栄養調査 / 標準化死亡比 |
研究実績の概要 |
本研究は,虚弱のリスクファクターと食要因あるいは生活習慣要因との関連について明らかにすることを目的としている。本年度は,以下のことが明らかとなった。
【背景・目的】虚弱リスクを下げることは死亡率低下と関連がある。これまでに「複数の生活習慣要因の組み合わせ」が死亡率のリスク低下と関連することが報告されているが,西洋諸国を対象とした研究が中心であり,アジアではエビデンスが乏しい。滋賀県における平均寿命は全国トップクラスであり,長寿県として注目されている。本研究では滋賀県における食要因を含む複数の生活習慣要因と全死因および死因別死亡リスクとの関連を検討することを目的とした。 【方法】本研究は生態学的研究である。主要死因・性・都道府県・市区町村別標準化死亡比(SMR)のデータは厚生労働省平成20~24年人口動態保健所・市区町村別統計より19市町別の5年間の平均値を得た。食事及び生活習慣に関するデータは平成27年度滋賀の健康・栄養マップ調査より,食事・喫煙・飲酒・運動・睡眠の5要因を抽出し健康行動スコアを作成した。健康行動スコアは,先行研究に基づき各要因につき健康的な行動を1点とし,0-5点の範囲とした。滋賀県内19市町ごとに健康行動スコアの平均値を算出し,SMRを目的変数,健康行動スコア等を説明変数として重回帰分析を行った。 【結果と考察】女性において,全がんSMRと健康行動スコアに負の相関が認められた。男性においては関連が認められなかった。全死因およびその他の各疾患SMRと健康行動スコアは,男女ともに関連は認められなかった。滋賀県の女性において複数の生活習慣要因の組み合わせが,がん死亡リスクの低下につながる可能性が示唆された。現在,性別以外の層化解析などの解析を進めており,これら研究結果を英語論文としてまとめ,国際誌に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度投稿した「地域在住高齢者における食事パターンと貧血リスクとの関連」についての英語論文は,昨年度中に採択された。昨年度中に投稿した,「主観的健康感と生活習慣要因との関連」についての英語論文は現在国際誌に投稿中であるが,査読が長引いている。また,昨年度の成果を今年9月に開催される国際学会(ICD2020ケープタウン)にて発表予定(演題採択済み)であったが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため,延期となった。開催次期は未定である。COVID-19の影響により,2020年3月以降,研究室での研究がほとんど進んでいない。6月末より少しずつ研究室としての活動ができるようになるため,データ解析を進め,論文化していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は延長申請し,最終年度をむかえていることから,研究成果の発表を目標に,国内・国際学会発表や学術雑誌への論文投稿を行い、最終的に論文アクセプトを目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,次の理由により延長申請を行い,承認されている。 延長理由:現在,研究成果を国際雑誌に論文投稿中であるが,査読結果によっては解析のやりなおしが生じる可能性がある。また,論文がアクセプトされると掲載料が必要となる。さらに,同成果を来年度9月に開催される国際学会(ICD2020ケープタウン)にて発表予定である。 今年度は,投稿中論文の査読が返ってきた場合,修正原稿の英文校正費用,掲載された場合の掲載費用,国際学会のための諸経費として研究費の使用を考えている。
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