研究課題/領域番号 |
17K12921
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
今井 絵理 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (00715948)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 県民栄養調査 / トレンド / 健康行動スコア / 健康寿命 |
研究実績の概要 |
本研究は高齢者の機能低下要因と食事との関係に着目し,フレイル予防に有効な食事を明らかにすることを目的としている。申請者は近年にかけて急速に平均寿命および健康寿命が延びてきた滋賀県に注目し,滋賀県民栄養調査結果を用いた解析を行ってきた。これまで食事・喫煙・飲酒・運動・睡眠の5ライフスタイル要因から,健康的な行動を各1点とする健康行動スコアを作成しこの組み合わせが多いほど死亡率が低いことを明らかにした(Nutrients 2020)。昨年度はこの健康行動スコアのトレンドについての解析を行い最近約10年間で男性は全年齢階級,女性は65歳以上でライフスタイル関連要因を組み合わせておこなう滋賀県民が増加していることを明らかにした。 今年度は上記で明らかとなったトレンド研究についてさらなる解析を行った。女性において健康行動スコアの上昇がみられた65歳以上と低下した65歳未満に分けて解析した結果,食事の質が高い者の割合は10年間で年齢に関わらず減少したが65歳以上でその減少程度は小さかった。65歳以上女性において食事1点群の減少はなぜ抑えられたのかについて調べた。食事1点は食事摂取基準のスコアの合計点で評価しており栄養素ごとに基準を満たす者の割合(2004年と2015年)の変化量を調べた。65歳未満女性ではほぼすべての栄養素(エネルギー調整済み)で基準を満たす者が有意に減少,一方65歳以上女性ではたんぱく質摂取量で充足が維持,脂質摂取量が目標量を満たす者は増加傾向,ビタミン・ミネラルは充足者が減少したが,65歳未満と比べて減少の程度は小さかった。 今年度は上記で明らかとなった研究成果について,国内・国際学会発表や学術雑誌への論文投稿を中心に行い,国際学会および国内学会で十分に成果を発表することができた。英語論文については国際誌に投稿し,査読結果が返ってきたため,現在修正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
詳細な国際学会(ICD2020ケープタウン)および国内学会(栄養食糧学会,栄養改善学会等)にて研究成果を発表することができた。しかし,昨年度中に投稿した「健康行動スコアのトレンド」についての英語論文は国際誌に投稿,リジェクトとなり,再解析・再投稿をしていたため予定よりも少し遅れている。今年度査読結果が返ってきたので修正中である。また,昨年度の成果を国際学会(ICN2021 東京)にて発表する予定(演題採択済み)であったが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため,今年度に延期となった。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に研究は進行しているものの今年度はコロナもあり学会発表の延期や発表形態が変更になったりしている。出来る限り対面で実施している学会を中心に発表を行っていきたいと考えている。本年度は延長申請し,最終年度をむかえていることから,研究成果の発表を目標に国内・国際学会発表や学術雑誌への論文投稿を行い、最終的に論文アクセプトを目指す予定である。同成果を今年度開催される国際学会(国際栄養学会議(ICN2021)や国内学会にて発表予定である。国際学会のための諸経費としての研究費の使用を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度投稿した英語論文が一度リジェクトとなったため,掲載費の使用が無かった。現在,投稿中論文の査読が返ってきたため,現在修正原稿の修正を行っている。論文がアクセプトされた場合,論文掲載料が必要となる。 また,同成果を今年度開催される国際学会(ICN 東京)にて発表を考えていたが,次年度に開催が延期となった。次年度は国際学会のための諸経費(学会参加費・旅費)として研究費の使用を考えている。
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