研究課題/領域番号 |
17K12922
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
鍛島 秀明 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (40714746)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 甘味受容体 / ギムネマシルベスタ / 血糖調節 / 胃内容排出 / 食欲 / 甘味欲求 |
研究実績の概要 |
ヒト口腔内の甘味受容体活性の違いが,甘味を呈する食事摂取時の胃排出,糖・インスリン反応および食欲に果たす役割を明らかにすることを目的とした。15名の被験者は座位で2分間の安静後,甘味受容体の活性化を抑制するギムネマシルベスタ溶液(Gym条件),あるいは水(Con条件)25mlを口に含み口腔内を30秒間リンシングし,その30秒後に水で口腔内に残存した溶液を30秒間で洗い流した。続いて,マフィン50gを60秒かけて摂食した。その後,胃排出を推定するために,13C酢酸ナトリウム12.5mg を含有する水50mlを30秒かけて摂取した。3分間の安静後,被験者は,同手順でマフィン50gを3回,スクロース5g含有のプレーンヨーグルト45gを2回,バナナ50gを2回,を合計46分かけて摂食し,その後100分間の座位安静を保った。各食品の摂取直後に,甘味の強度および欲求度,満足感,満腹感,空腹感および摂取可能感を,視覚的評価スケールを用いて評価した。また,実験開始前,各食品摂取完了30秒後,全ての食品摂取完了後20分,40分,60分,80分,100分に指先から採血して血中グルコース濃度(BG)および血漿インスリン濃度(PI)を測定した。胃排出の評価は,13C呼気試験を用いて推定した。各食品摂取後,甘味強度はGym条件がCon条件に比べて極めて低かった。胃排出,BG,PI,満腹感,空腹感および摂取可能感は,条件間で有意差を認めなかった。満足感はGym条件がCon条件に比べて有意に低かった。甘味の欲求度は,Gym条件がCon条件に比べて有意に高かった。口腔内の甘味受容体活性の抑制は,胃排出,糖・インスリン反応および食欲とは関係なく,満足感や甘味に対する欲求度の低下をもたたらすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,ラクチゾールを用いて甘味感受性を一時的に増強させ,各種生理応答ならびに摂食調節を検討する予定であったが,次年度に予定していた実験を繰り越して実験を行った。計画上の遅れはないものの,今年度は予定していた摂食量の検討ができなかった。次年度は摂食量の検討まで実施し,甘味受容体活性の違いと摂食調節との関連を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
甘味受容体活性を抑制するギムネマシルベスタおよび甘味受容体を一時的に活性化させるラクチゾールを用いて,口腔内の甘味受容体の活性を微かに変容し,食物選択および摂取量がどのように変化するのかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通り予算を執行することができた。残額は来年度の実験で使用する消耗品(物品費)ならびに謝金等(人件費)に使用する。
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