本研究では、食に関する非認知的スキルや主観的健康観に着目して、幼児期における学校給食を活用した食育の効果を検証した。 幼稚園や保育所を卒園した子どもたちの現在(小学1年生から高校1年生)の非認知的スキルに影響する要因を、ロジスティックス回帰分析にて解析した。その結果、小学生では、家庭の食事が好き、食への興味関心が高い、主観的健康観が高い児童は、それぞれそうでない児童と比べて、高い非認知的スキルを持っていた。また、中高生では、食への興味関心が高い、主観的健康観が高い、いらいらしない生徒は、それぞれそうでない生徒と比べて、高い非認知的スキルを持っていた。このように、現在の非認知的スキルに影響を与える要因として、現在の健康観や食事に対する意識がある可能性が示唆された。幼児期の給食の記憶や小学校の給食が楽しみであったかどうかも分析の対象としたが、現在の上記に示した要因の方が強い影響を与えている可能性が示唆された。 さらに、食育に力を入れていた園とその他の園に通園していた児童生徒の現在の生活習慣・食習慣・食意識の関連性の検討では、朝食摂取頻度、食に関する話、味に関する話、食事中にテレビを付けない、現在の料理の手伝い、いろいろな国へ行ってみたいの6項目で有意な関連がみられた。 他の分析も含めて、総合的に判断すると、幼児期の食育は、現在の健康観や食習慣と関連がある可能性があるが、現在の非認知的スキルには現在の主観的健康観や現在の食意識が影響を与えていたため、過去の食育より現在の健康観や食意識が優先される可能性が示唆された。これらのことより、良い健康習慣を身に付けさせるためには、各ライフステージに合わせた食育を常に実施していくことが重要であると提案したい。
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