本研究では、食品加工・調理施設におけるListeria monocytogenesのバイオフィルム形成による食品汚染が問題視されていることを鑑み、当該形成能に関与する環境因子の探索と遺伝子発現プロファイルの構築を通じ、その形成基盤及び誘引機構に関して検討した。多様な由来源から得られた171株のバイオフィルムアッセイにより、菌株間多様性及び温度依存性挙動が示された。その内、低温環境下での当該形質の有意な減少には付着性因子の関与が示され、同時に細胞表面疎水性が低く、物質表面への付着性が弱いことが示唆された。また、当該形質では、14個の遺伝子が浮遊細胞よりも10倍以上高く発現していた。
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