研究課題/領域番号 |
17K12929
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
久坂 哲也 岩手大学, 教育学部, 准教授 (00779944)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | メタ認知 / 科学的探究 / 中学校理科 |
研究実績の概要 |
本研究では,中学生の実験計画能力の育成を目標とし,メタ認知スキルの一般化を促す指導方略を開発することを目的としている。この目的を達成するため本研究は,(1)実験計画能力とメタ認知スキルの獲得・一般化に関する理論構築,(2)理論に基づく指導方略の開発,(3)指導方略を用いた予備的授業実践,(4)指導方略を用いた授業実践と効果測定の4 段階で進める計画である。初年度となる平成29年度は,主に(1)の理論構築に基づく研究を実施した。具体的には,Metacognition and Learningをはじめとする国際誌に掲載されたメタ認知と科学的探究,あるいは理科学習を題材とした教育介入に関する文献を収集した。その結果,何点かの重要な示唆を得ることができた。また,中学生(第2学年,146名)を対象に学習者が元々もっている科学的探究に対するメタ認知的知識の実態調査を実施した。箇条書きの自由記述を求めた結果,計764件の記述が得られ,その記述についてテキストマイニングを用いてコーディングスキーマを生成した。その結果,その他を含む22種類のメタ認知的知識が算出された。メタ認知的スキル獲得のためには,個人内の知識のレパートリーを増やす必要性が指摘されているため(Veenman, 2012),次年度以降は実際に中学校で予備的な授業実践を行いながら実験計画におけるメタ認知的知識とスキルの獲得を目指した教育介入の効果測定を実施する予定である。また,問題点の把握に努め,より効果的な介入方法について研究協力者である中学校の理科教員らとともに検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論構築には多少の遅れはあるものの,文献調査だけでなく中学生を対象とした調査研究に着手することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,29年度の研究によって得られた知見を基に,実際に中学生を対象とした予備的授業実践を数回程度行う。また,その成果についてパフォーマンス課題や質問紙などを用いて多面的に分析することによって,授業実践の問題点や改良点などの抽出に努め,研究協力者である中学校の理科教員らとともに検討会を実施していく。そして,最終年度(平成31年度)の本実践に備え,指導用(教師用)と授業用(生徒用)のテキストの作成に向けて作業を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,当初「人件費・謝金」として20万円を計上していたが,平成29年度は質問紙による調査が主となってしまい,観察法やインタビュー法といったデータの取得と分析に膨大なコストのかかる調査を実施しなかったため,人件費・謝金を必要としなくなったためである。また,「その他」(主として複写費)として25万円を計上していたが,平成29年度に収集した論文はアープンアクセスのものが多く,当初の予定よりも少額で済ませることができたためである。次年度(平成30年度)は予備的な授業実践を行う教育介入研究に着手予定のため,授業分析に必要な物品購入とデータ分析補助者への人件費,文献複写費に充てていく予定である。
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