研究課題/領域番号 |
17K12932
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐々木 智謙 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10781122)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教員志望学生 / 理科教育 / 教師教育 / ICT機器 |
研究実績の概要 |
小学校教員志望学生,及び教職経験5年未満の小学校教員を対象に,小学校理科(生物分野)の自然科学の素養,観察・実験の知識・技能,及びICT機器の活用に関する調査等を実施し,その諸特徴や改善点等を明らかにした。その一端を,下記①と②の当該学会における口頭発表や,③と④の学術論文として公表した。 ①佐々木智謙・佐藤寛之・松森靖夫「心臓の構造に関する小学校教員志望生の認識状態の分析」日本理科教育学会第67回全国大会(福岡大会),発表論文集に所収,2017.【要旨】小学校第6学年単元「動物の体のつくりと働き」に対する小学校教員志望学生の低い認識状態を指摘するとともに,特に心臓の構造に対する誤概念を抽出して分析を加えた。 ②塚原健将・佐々木智謙・佐藤寛之・松森靖夫「昆虫の体のつくりに関する認識状態の分析-小学校教員志望学生・現職の小学校教員を対象にして-」日本理科教育学会第56回関東支部大会(千葉大会),発表論文集に所収,2017.【要旨】小学校第3学年単元「昆虫の体のつくり」に対する小学校教員志望学生の低い認識状態と指摘するとともに,関連する誤概念を抽出して分析を行った。 ③佐々木智謙・佐藤寛之・松森靖夫「ICT 機器を活用した理科学習指導方策の提案 -ミクロメーターの指導を事例にして-」日本理科教育学会第67回全国大会(福岡大会),発表論文集に所収,2017.【要旨】小学校教員志望学生,及び現職の小学校教員等を対象にしたICT機器を活用したミクロメーターの指導に関する理科授業を設計した。 ④佐々木智謙・佐藤寛之・松森靖夫「心臓の構造に関する小学校教員志望学生の認識状態の分析」日本理科教育学会誌『理科教育学研究』第58巻,第3号,239-249頁,2018.【要旨】上記①の当該学会における口頭発表を,学術論文として再構成にしたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,自然科学の素養や観察・実験の知識・技能に関する研究報告や,教育へのICT機器の導入の是非や課題等を指摘した研究報告等を概観し,先行研究を精査した。また,小学校教員志望学生,及び教職経験5年未満の小学校教員を対象に,小学校理科(生物分野)の自然科学の素養,観察・実験の知識・技能,及びICT機器の活用に関する認識調査研究等を実施し,その諸特徴や改善点等を明らかにした。結果として,小学校教員志望学生や教職経験5年未満の小学校教員の小学校理科(生物分野)で扱う自然科学の素養等が極めて低いことが明らかになった。本年度の研究成果の一端を,日本理科教育学会全国大会発表論文集や同学会関東支部大会発表論文集へ掲載したり,日本理科教育学会誌「理科教育学研究」に掲載したりする中で,一定の評価を得た。 まず,日本理科教育学会第67回全国大会(2017年開催,福岡大会)では,心臓の構造に関する小学校教員志望学生の低い認識状態と誤概念の存在について口頭発表した。また,同学会第56回関東支部大会(千葉大会)では,小学校教員志望学生と教員経験5年未満の小学校教員を対象にして,小学校第3学年単元「昆虫の体のつくり」に関わる低い認識状態,及び顕微鏡やミクロメーターを使用した「ICT 機器の活用」に関わる理科学習指導方策の提案等について口頭発表した。 なお,時間的制約等から,小学校理科(生物分野)の特定の単元に対する誤概念を把握するにとどまっている。今後は,さらに誤概念の抽出と把握に努めるとともに,理科授業におけるICT機器の活用力を育む教員養成・研修プログラムの開発を進める必要がある。上記の理由から,自己点検による評価を,(2)おおむね順調に進展している,と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に実施した先行研究の精査,及び認識調査研究等を継続するとともに,以下に示す平成30~31年度の各研究目的の達成を目指して今後の研究を推進していく予定である。 【平成30年度】平成30年度は,前年度と同様,小学校教員志望学生及び教職経験5年未満の小学校教員を対象にして,小学校理科(生物分野)の自然科学の素養,観察・実験の知識・技能,及びICT機器の活用に関する認識調査研究を行う。本年度の調査にあたっては,前年度未実施の調査内容や前年度の調査により明らかになった課題等をもとに調査内容を再検討して実施する。 そして,前年度に行った先行研究の精査や認識調査研究の結果等の蓄積により得られた知見をもとに,理科授業におけるICT機器の活用力を育む教員養成・研修プログラム(タブレット端末等のICT機器を活用した理科学習教材・学習指導方策の考案を含む)を開発する。 【平成31年度】平成31年度は,前年度までに開発した理科授業におけるICT機器の活用力を育む教員養成・研修プログラムに修正・改善を加えた上で,プログラムを完成させる。そして,小学校教員志望学生及び教職経験5年未満の小学校教員を対象に,前年度と同様,大学における講義や教員研修会(初任者研修会「自然観察の実際と指導法」,及び小学校経験3年目理科指導力向上研修会「生物実験・観察における器具の操作と実験・観察方法」)等において,完成した本プログラムを試行する。加えて,本プログラムの参加者に対して質問紙調査等を行い,本プログラム試行前後の認知面及び情意面の変容様態を明らかにし,有効性を検証する。その上で,再度修正・改善が必要な場合には,修正・改善を加えた上で,本プログラムの最終完成形とする。
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