研究実績の概要 |
2017年度までに、科学館や中学・高校にて、中高生の希望者を対象とする科学教室の形式で、2018年度は2つの高校の正課の授業での形式で、衛星電波受信実験の実践を行った。受講前後での受講者に対するアンケートの分析を行い、特に正課の授業実践から 1) 受講者の満足度は高く受信実験は高校生が興味を持てる教材であること 2) 特に理科への有用感は実践の前後で有意に向上したこと 3) 実験参加者と非参加者の両方に衛星の運動に関する力学のテストを実施した所、実験参加者の方が有意に得点が高かったこと を確認し、衛星電波受信実験の教材としての効果を確かめた。この結果をまとめ投稿し、2020年4月4日に「物理教育」に査読付き論文として受理された。
超小型衛星の教育利用の更なる発展として、静岡大学工学部が開発したStars-AO衛星を用いた観測計画を中高生が立案する科学教室を2018年度に実施した。静岡大学教育学部の教育心理・哲学・理科教育の研究者と協力し、特に参加者の「知識を活用して創造的なアイデアを生み出す能力」と「仲間と建設的な議論を行う能力」の2つの能力の育成を目指しカリキュラムを作成した。37名の中高生が参加し、うち2名は本科学教室のアイデアを元に研究を進め、第21回日本天文学会ジュニアセッションで発表した。受講者が科学教室中に作成した成果物を定量的・定性的に分析し、目標とした2つの能力が向上していることを確認した。この結果をまとめ投稿し、2020年9月4日に「Trans. of JSASS, ATJ」 に査読付き論文として受理された。
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