研究課題/領域番号 |
17K12938
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研究機関 | 舞鶴工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石川 一平 舞鶴工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (10511735)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線教育 |
研究実績の概要 |
本研究で提案するプラスチック検出器を用いた放射線教育は,複雑な回路を要しないので構造が簡単であり取り扱いが容易,そして可視化原理が安定している特徴を持つ。しかし,「劇物」である薬品でプラスチック検出器を溶かす必要があるため教育現場では安全性の面で敬遠される傾向にある。そこで本研究では広く利用できるように,プラスチック検出器の溶けやすさを調整することによりエッチング特性の改善を図り,実験中の危険性を低減することを目的としている。 プラスチック検出器の溶けやすさを決定する要因は材料混合比,熱硬化条件である。本研究では,プラスチック検出器の基となる材料であるADCとIPPの混合比を検討した。さらに,それらベース材料に「重合を防止させる材料」として数種類の材料を添加した。今のところ環状構造を持つ不純物が溶けやすさに何らかの良い影響を与えている可能性があることがわかった。 次に,プラスチック検出器を熱硬化させる際の熱硬化条件の検討を行った。空気中の酸素による酸素阻害が起こってしまうため,空気に触れないように密封する必要がある。密封しない場合は酸化防止剤を材料に混合するが,安易な混合物はプラスチックの特性に悪影響を及ぼす可能性があり好ましくない。そこで本研究では従来の製造方法である大気中での熱硬化ではなく,新たに真空中での硬化を試みた。真空中により,密封しなくても従来品と同等のプラスチック検出器が製造できるようになった。密封するというプラスチック製造の工程が減るため,製造者側の危険性低減につながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した『材料混合比,熱硬化条件の2つを検討すること』が達成できたのでおおむね順調に進展しているといえる。不純物による材料混合では環状構造を持つ不純物が良い結果が得られることがわかった。今回,新たに真空中での硬化を試みたところ,密封しなくても従来品と同等のプラスチック検出器が製造できるようになり,製造者側の危険性低減にもつながった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に引き続き,プラスチック検出器のエッチング特性の改善を図り,性能を向上させる。また,平成30年度では,プラスチック検出器を溶かす溶液(エッチング液)の検討も行う。プラスチック検出器をエッチング液で溶かす時間を速めることができれば,危険性の低減につながると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
材料混合比の実験において良い結果が得られそうな予兆があり,エッチング条件を増やしたため,解析に時間を要することになった。これにより,研究計画当初に予定していた学会に間に合わず,違う学会での発表となったため,特に旅費の余剰が発生した。この余剰は,次年度の学会発表旅費や,実験条件を増やした分の実験消耗品費に充てる。
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