本年度は,公立小学校における「総合的な学習の時間」を軸にした教員研修,校内研修の仕組みづくりに焦点化し他2つの研究,高等学校の探究活動と大学の連携に関する発展的な研究の合計3つの研究を行った。 1つは,「総合的な学習の時間」の年間を通じた単元開発である。主に小学校高学年を対象に,教科横断,単元のつながりを踏まえた年間70時間のうち,30時間の単元開発・実践を教師との協働で実施した。単元開発の過程で生じる課題や成果を抽出した。 2つ目は,カリキュラム・マネジメントの観点から,公立小学校における校内研修を「総合的な学習の時間」を軸にした単元設計を小学校1年生から6年生までのすべての学年集団で検討を進め,教科を超えて,教員集団で取組むことのできる校内研修のあり方について検討を行った。 最後に,高大連携の視点で,総合的な探究の時間と大学における汎用的能力の育成の接続の観点から,高等学校教員と大学教員が協働で総合学習を設計・サポートする協働体制のあり方について検討を行った。 以上の検討のプロセスから,カリキュラム・マネジメントの観点から,総合的な学習の時間などの社会との関わりの高い教育活動を教師が主導的に実践していく際の要点が抽出された。例えば,教育現場に関わる関係者が学校に関与する仕組み,単元設計を担う教員の組織的体制の充実が求められる。教師個人の力量に依存するだけではなく,学校組織の教育活動としての単元設計・開発の蓄積が学校の教育資源となることも考えられるため,今後の校内研修などの大きなテーマになっていく可能性が考えられる。
|