研究課題/領域番号 |
17K12945
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大山 牧子 大阪大学, 全学教育推進機構, 助教 (70748730)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リフレクション / 省察 / 大学教育 / アクティブ・ラーニング |
研究実績の概要 |
本研究では、アクティブラーニングにおいて大学生の深い学びに寄与するリフレクションに着目して、それを促す授業デザインを開発し、リフレクションとの深い理解の関連性について、量的・質的の双方から検討することが目的である。今年度は、1.アクティブ・ラーニングにおけるリフレクションの位置づけの確認、2. リフレクションを促す授業デザインの開発と評価を中心に研究を進めてきた。 1に関して、まず大学のアクティブ・ラーニングにおいて、学生が深い理解を得るプロセスである、内化―外化を促す学習活動を示した。その活動とは、「知識の獲得・協調活動・表出活動・リフレクション」であり、中でもリフレクションは、内化を支える重要なプロセスであることが確認された。さらに、現在教育工学分野において、アクティブ・ラーニングの中でどのようなリフレクション研究が実施されているかを調査した。その結果、授業中や授業後のリフレクションを促すレスポンスアナライザーやLNSとの連動によるリフレクションのためのソフトウェア・システムの開発研究、eポートフォリオの導入とリフレクション実践による研究が行われていることが明らかになった。この結果は、日本教育工学会論文誌にて刊行している。 2に関して、医療系大学の複言語習得授業において、リフレクション実践をデザイン並びに評価した。本実践では、各言語を学ぶだけではなく、新しい言語を学ぶ際に活用できるようなリフレクションが求められる。授業後と言語ごとの授業終了後にそれぞれ異なる粒度のリフレクションを行う機会を導入し、その評価を行った。その結果、リフレクションを行うことで、各言語の特徴や困難の度合いを理解したことが確認された。本研究の結果は、日本教育工学会にて2度発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H30年度における研究は当初より進捗がやや遅れている。上記の通り、アクティブ・ラーニングにおけるリフレクションの位置づけ、ならびにリフレクションを導入した1つの授業のデザインと評価を行ったが、本来予定していた異なる分野でのもう一つの実践で、データが取得できなかったことがその理由である。それに伴い、予定しているリフレクション尺度の作成にも遅れがでている。とはいえ、個々の研究は、学会発表や論文としてまとめることはできており、「リフレクションと深い理解の関連性」が明らかになってきたことから、大幅な遅れとは言えないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H31年度(R元年度)は、これまでの2年間の研究成果である「リフレクションの段階」「アクティブ・ラーニングにおけるリフレクションの位置づけ」「リフレクションを導入した授業のデザインと評価」を踏まえて、他の授業文脈における「リフレクションを導入した授業のデザインと評価」を行う。その上で、測定のための「リフレクションの尺度」を開発し、最終的に「リフレクションを促す実践のモデル化」を図る予定である。このように進めることで、リフレクションの段階、理解との関連、リフレクションを促す授業デザインの手がかり、リフレクションの測定が包括的に明らかになる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実践が、遂行不可能だったため、本プロジェクトを1年延長した。今年度は、主に成果発表のため、国内旅費に使用する予定である。
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