研究課題
1.プロジェクト基盤学習(PBL)は、狙い通りの学習成果をあげることが困難であることや、運営面において担当教員の経験やスキルに高く依存するという問題がある。本研究では、PBL授業での学習成果とその要因の構造を確認し、学習データの回帰分析を行うことにより、担当教員の経験などに依存せずに授業改善を行う手法について検討した。諏訪東京理科大学で実施されたPBL科目について分析を行ない、ICTツールの活用および学生活動の促進が学習成果に対し強い影響力をもつことを特定した。これらの要因を改善・充実させる方策を立案し、PBL授業において1年間実践することで要因および学習成果の変化を確かめた。充足度の変化が有意であった要因を確かめ、その変化から期待される学習成果の変化を予測した。学習成果の変化を見た所、発信力や実行力などのスキルが向上し、これらは、要因の変化から予測される学習成果の変化と一致することを確かめた。これにより、本手法を用いることで狙った学習成果を向上させることができることを確認した。2.近年急速に発展する機械学習アルゴリズムを用いて、学生の学習状況や学習成果を分析することで学習の過程において成果を予測する研究が盛んに行われている。本研究においてもPBLにおける学習成果予測を行うために、本学で使用しているLMS(Moodle)の対象授業コース上に学習状況を確認するモジュールの他に、学生らがスケジュール管理および情報共有に使用可能なツールを用意し、活動状況や学習状況などを収集する環境を整えた。このLMSを1年間PBL授業で活用させることにより、約8000件の活動ログを収集することができた。
2: おおむね順調に進展している
上述のように、PBLの学習データ分析およびその結果の活用による学習成果向上について研究成果を得ている。この研究成果について、日本教育工学会および国際会議で発表し、論文として投稿中である。また学習データ収集についてもその環境を整え、今後の研究の基盤を整えることができた。以上より、研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。
これまでの研究では、統計学的手法を用いてPBLの学習データの分析を行ってきた。今後は機械学習を用いて学習データ分析をする研究を行う。機械学習を用いる場合、分析するデータ量が重要になるため、まずは定期的に学習データをLMSから分析用サーバに収集し、分析するための前処理をするシステムを構築する。次に、機械学習による分析精度が統計学的手法による分析を上回るように用いるアルゴリズムについて検討する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Proceedings of the 2017 9th International Conference on Education Technology and Computers
巻: - ページ: 104 - 108
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2017 International Academic Business Conference, 2017 International Education Conference & 2017 International Science Education Conference Proceedings
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International Journal of Emerging Technology and Advanced Engineering
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